「あなた〜風呂はいっておいで」
『ん。了解ーいつものは?』
「置いてあるよ」
『ありがとー』
徹とのお泊まりは何回もある
だから私のことをよく知っている。
大概 あれ とか それ とかで伝わる
そして いつもの というのは服である
私は大きめの服を着るのが好き
あのダボダボしてる感じが守られてる感じがするから
《🛁》
『服ありがと』
そう言うとこっちを向いて顔を赤くする
「ハァ あなたの彼シャツ姿見慣れない。心臓に悪い」
『いや、見慣れるものじゃないから』
そう返すと徹の座っているソファの隣を
ポンポン
と叩かれた
そしてそこに腰を下ろす
「それでは髪を乾かしマース」
『お願いしまーす』
お泊まりの時は髪を乾かしてくれる。
いわゆる甘やかし。
寂しがり屋の私のためにしてくれる
「あなた〜布団行こうか」
『んー』
眠いのでそれだけへんじをする
眠いのを悟ったように抱っこして布団まで連れて行ってくれる
そうするとなる着信音
どうやら私のスマホから
『ごめん徹だれから?』
そう聞くと徹が見てくれる
そうすると少しイヤそうな顔で
いつもより低い声で
「黒尾鉄朗ってだれ?」
ときいてきた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!