廉side
恐る恐る楽屋の扉を開けると
飛び込んできたのは
紫耀にひざまくらされてすやすや眠る海人の図
ドキドキしてたのも
一瞬で黒いモヤモヤの中
海人は俺とキスしたこと、
なんとも思ってないんかな…
…それとも、
失敗したからキスって思われてないんかな…
どっちにしろ、寂しいなぁ。
海人side
一緒に着替えている時に
つぶやくように聞こえた紫耀の不安そうな声
紫耀に悟られる前にその場から逃げた
いくら紫耀でも、言えないことってもんはある
それに…俺の勘違いかもしれないんだし…
撮影の準備中に、スタジオをうろうろしていると
1人でいる廉を見つけた
近付いて行くと、廉も俺に気付いてくれた
ちょうどここは2人だし、
昨日の話をするには絶好のチャンスだった
.
.
.
俺は昨日の、嬉しかったのに…
なんで…失敗なんて言うの…?
頭で考えるよりも先に
廉の肩に手を置いて
唇を重ねようとしていた
失敗だって思ってるなら、
…やり直し、してよ…
キス、拒まれた…。
恥ずかしさと苦しさに耐えられなくなって
その場を離れた
追いかけてきた廉に手を掴まれて
廉を見た途端に涙が溢れて来た
.
.
手で口を抑えられて
その上から廉がキスをしてきた
手のひら越しのキスなんて、
実質キスしてないじゃん
って、頭ではわかってたけど
俺は空でも飛べそうなくらい嬉しかった
next…
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。