黒尾さんの背中は温かくて甘い香りがした
香水ではなく、黒尾さん自身の匂い
甘い匂いは吸血鬼を狂わせる
本当はこんなに近づいちゃだめなのに
おんぶで家まで送ってもらってしまった...!
なんてことをしてしまったんだ僕は...!
黒尾さんってなんでこんなに優しいんだろう
背は高いし、イケメンだし←
血を吸ってみたい
なんて思ってしまう
駄目だ駄目だ
絶対に駄目だ
僕が吸血鬼だなんてバレてはいけない
バレてはいけないんだ
落ち着け、落ち着くんだ
そうそう、このコーヒーの匂いで...
僕コーヒーなんていつ淹れたっけ
いやいや、僕はコーヒーなんか飲めない!
じゃあ、一体誰が...
何なんだよこの人は...!
人の家で勝手にコーヒー飲んでんのか?!
ありえないだろ!人として!
え、意外と子供?
ま、でも流石に高校生でブラックは無理だよな
え、なんでここに僕の食事(血)が...!?
いつもは隣の引き出しにしまってるのに...!
なんでここにあんだよぉぉー!
俺はA型だ
こんなミスするはずない...!
ちょっとまてよ...?
そういえば昨日....兄ちゃんが...
【回想】
【回想終了】
絶対兄ちゃんだ!
兄ちゃんB型で適当だからっ...!
↑全世界のB型様すみません
でも血液型と性格は関係ないらしいですよ
やりやがったな兄ちゃん
絶対入れ間違えてるだろ...!
とりあえず落ち着け
何か適当に答えろ
大丈夫だ黒尾さんバカだし←
えぇぇぇー?!
この会社のパッケージはバレやすいからダメってあれほど言ったのにっ...!!
どこまでしでかせば気が済むんだよ兄ちゃん...!
あー、もう駄目だ
人生が終わった
てか何なんだよこのパッケージ
「吸血鬼に最高のおやつ」
吸血鬼にも贅沢なデザートを!
人間の血がたっぷり入って50g!
50gのどこがたっぷりなんだよっ!←
どーしよどーしよ
もうごまかせない
言ってもいいのかな
黒尾さんなら...
やっぱり怖いよね、吸血鬼って
これ以上、関わったら駄目だ
黒尾さんにも、迷惑かけちゃう
そう言って、黒尾さんは僕の背中をポンッと叩いた
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!