あの後、私と彼方さんはお互い目を
合わせないようにしながら帰ってきた。
…次、会ったらどうしよう。
絶対気まずいよね。でも、でも、絶対会うし…。
こんな時はお姉ちゃんに相談しよう。
お姉ちゃんはテレビを見ながら返事をした。
珍しく言葉を詰まらせながら話す私を面白く思ったのか、
お姉ちゃんはパッ!とこちらを向き、半分ふざけながらこう言った
が、お姉ちゃんの言葉を遮って私は言った。
お姉ちゃんは急に黙ってしまった。
面と向かって言うのが恥ずかしかったのでそっぽを
向いていたが、お姉ちゃんの方を見ると口がポカンと空いている。
え、そんなに驚く?
そう言ってからもお姉ちゃんからのお説教(?)は
止まる気配がない、と思っていたが
途中でハッ!として私に聞いた。
そう答えとお姉ちゃんは「ほっ」とした表情をしていた。
などとまた1人で話し出してしまった。
今後こういう相談をお姉ちゃんにするのはやめようかな…。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。