場地くんに愚痴をこぼしてから帰る放課後の帰路はなんだか肌寒くて
心無しか雨まで降ってきた。
なんだか私の心のように地面にたたきつけられる雨粒たちをみていると
寂しい気持ちにもなった
そのまま真っ直ぐ家に帰ろうと思っていたけれど、何かの衝動にかられた私は真っ直ぐに家には帰らず
浜辺に来た。
雨が降っているため、浜辺につくと誰もいなかった。
誰もいないことをいいことに私はその浜辺で叫んでいた。
『千冬のばかああああ!!!』
『どれだけ私があんたのこと待ってると思ってんのよおおおおおお!!』
みっともなく声が裏返ってもそんなことを永遠と叫んでいた。
『ほんとは……ほんとはッ!』
『私が千冬の苗字をもらう予定だったんだからあああ!!』
そういった時だった。
「へぇ〜」なんて声が聞こえて私は振り返る。
ザーザーと雨が降る中、傘もささずにそこに立っていたのは
罪と罰と手の甲にかかれている長身の男だった______
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!