千冬からの電話に出てみると、千冬は少し咳払いしてから
千冬「あー……俺だけど」
なんて少しぶっきらぼうな挨拶をされた。
『どうしたの?』
と聞いてみると、少し口篭りながら
千冬「その……よ」
千冬「柚木がな、、」
あぁ、彼女の話か
なんて思って聞き流そうとした時だった。
千冬「お前がもし良ければ一緒に遊園地とか行かねぇかって誘ってて……」
少しその言葉を理解するのに時間がかかった
千冬「なんか柚木、お前のこと気に入ったみたいでさ、、ダブルデートっていうか…」
いや、、まて?
『あの…私彼氏いないよ……?』
だって貴方しかみていなかったもの、彼氏なんて出来るわけない。
今まで何度か告白はされているけれど、千冬のことしか見ていなかった私はずっとその告白たちを断り続けていた。
私が 彼氏がいない というと千冬は少し張り切ったような声で言った。
千冬「そこんとこは大丈夫だ!柚木が予定にしてる日まで1週間あるし、その間でなんとなく男友達でもいいから誘ってさ!」
そんなことを言い出す千冬に思わず怒鳴りたくなった。
どこが大丈夫よッ!!って。
私が全然大丈夫じゃない。
なんで私の好きな人とその彼女のデートに付き合わされなきゃいけないんだか。
千冬「……もしあなたが来なければ柚木、、どうするんだろう」
そんなことを言い出したから
仕方なく話を聞いてあげると
千冬「柚木、もう既にそこの遊園地のチケット4枚で予約してるみてぇで」
なんて言い出した。
嘘だろ、そういうのって人にアポ取ってからやるもんなんじゃないの?!なんて思う私が異常なのか……
私は頭をガシガシとかきながら
『あー、分かったよ、分かった』
なんて言って少し乱暴に電話を切った。
あぁ、つくづくついていない。
私が頼れる男友達って言ったら場地ぐらいなんだけど、、
明日頼んでみるしかないかぁ……なんて思いながら、髪の毛も乾かさないで寝てしまった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。