第35話

#35
520
2022/07/02 22:12
【シルクsaid】

しばらく歩いて着いた先は


あなたの下の名前の墓がある場所







墓石を抱きしめようとしたが



血でべっとりと汚れた手で触るのは気が引けた




その瞬間


ぽつぽつと雨が降ってきた




神様がこんな最低な俺にくれた

最後の贈り物かもな





雨で手のひらの血を落として

墓石をなでて抱きしめた














シルク
ごめんな。









ひんやりとした石の感触が

手のひらに伝わる











シルク
お前はこんなこと望んでないって…分かってたんだ…。
シルク
これはお前のせいじゃないからな。







シルク
これは俺の…わがままだから。












片手に持っている包丁からぽたぽたと


血と雨が混ざった水滴が草むらに垂れる































遠くからサイレンの音が聞こえた
シルク
そろそろ来たみたいだな。
音はだんだん近づいてくる
シルク
寂しい思いさせてごめんな。






































































シルク
すぐに行くよ。





あいつの血にまみれた包丁を





自分の腹に突き刺した











わずかな力でぐりぐりとねじ込むと


だらだらとあたたかい血が流れてくるのを感じた





























視界がぼやける











シルク
こんな俺を…許して…な。




そっと目を閉じた
























『俺のストーカーは』end

プリ小説オーディオドラマ