あれから5分ほど、私の前をスタスタと歩いている有岡くん。
何も言ってこないし、声をかけるのも怖い。
何を考えているのか分からない有岡くんの背中をただ見つめ、競歩のような速さで進んでいく彼を必死に追いかける。
反応なし。
そのまま歩き続ける有岡くん。
あ、引き止めてしまった。
少しでも長く私たちの関係が続くのなら、ただ追いかけるだけでも良かったかもしれない。
無理に話を聞かなくても...
でももう遅い。ちゃんと話を聞こう。
気付くとココは校舎裏。
有岡くんはきっと、人目のつかない所へ連れ出したかったのだろう。
意味のわからない質問に、頭がhatenaで埋め尽くされる。
「どこまでがウソなの?」
ん?どゆこと?¿?¿( ˘•ω•˘ )?¿?¿
スッと差し出されたのは、細長く折り目のついた白い紙。
間違いない。私がシャーペンに入れた紙だ。
きっと中も見ただろうな…
そんなもん入ってて見ない人の方がいないと思う。
そんなの当たり前じゃない!
私はあの日から、ずっと有岡くんのことが気になって気になって仕方なくて。
これが恋だって気づいた時には、おまじないなんて馬鹿なことしてたんだもの。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!