あなた視点
凄く、瑞希に相談したかった。
この授業を抜け出してでも。
でも、もしもそれで瑞希が離れたら?
離れないって思ってる。
けど、私だったら瑞希が好きな人出来たら
嬉しい。でもそれが杏だったら
話が変わってくる。だって杏のお陰で
今がある。そんな杏を取られた気がする。
私ですらそんな気持ちなのに。
同じグループに話せていない瑞希のこと
考えると、話せた内容じゃないだろう。
そうだ。お姉ちゃんに........って
お姉ちゃんに話しても、好きな人なんて
居ないから意味ないんだ。
どうしよ。こういうのって
誰に聞くのが一番?
そうだ。類や彰人なら。
彰人もきっと恋愛の事ぐらい分かってくれるし。
瑞希との話は類に出来る!
そうだ。私には強い味方がいるんだ!
あーあ。屋上でこんなに楽しい事なんて
今までほとんどなかったのに。
屋上は私たちにとって逃げ場のような
存在だったから。『屋上』っていう
単語だけでも、苦しい記憶が出てくる。
三年生なんて一番辛かった。
類が居なくなったんだから。
類が卒業して居なくなった。
その時は二人で思い切り無いて。
泣き疲れてその場で寝た記憶がある。
こんな風に、つらい思い出しか無かった
屋上に、こんな幸せな思い出が出来るなんて
これは、本当に現実なのかと疑いたく
なるぐらい、本当に幸せだ。
心にこのモヤモヤが無ければ、
もっと幸せだったのかもしれないな。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!