第15話

お出かけ。そして...
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2020/10/21 22:11
あなたside


てっつんが迎えに来てくれた時、教室にはもう誰もいなかった。
タイミング良かった... 皆に見られていたら絶対にからかわれていたよ...


黒尾
「長く待たせてゴメンな」

あなた
「大丈夫だよ。確かに授業が終わってから経っているけど、そんなに長いとは思わなかったから」

黒尾
「なるほどね。じゃあ、靴を履き替えて行くか!」

あなた
「うん」


てっつんは"お出かけ"て言ったけど、正直私にはデートに思える... あ"〜 調子に乗らない様に気を付けないと...!





あなた
「え...?」


学校を出たら手を差し出された。


あなた
「どうしたの?」

黒尾
「手」

あなた
「だからそれが何?」


何を言いたいのか、あるいはやりたいのか全く分からない。


黒尾
「はぁ... あ"ー もう。だーかーらー」


てっつんは私に近付いて手を取った。


黒尾
「こうしたいんだよ... 嫌なら離して良いから...」


顔を逸して彼はそう言った。
手を繋ぎたかったんだ... 大きな手だな...


あなた
「嫌... じゃないよ...」


確かに私達の今の年齢になると、口にするのは恥ずかしいよね... まだ付き合ってもいないし... でも何か嬉しいな。


黒尾
「そ、そうか... じゃあ、行くぞ...」

あなた
「行こう!」


心ではデート。始まり!





食事をしたりウィンドーショッピングや実際のショッピングをしたり、楽しい時間でいっぱいだった。


黒尾
「ちょっとここで休むか」


もう夕方になって、家に帰る途中で私達は河の土手で休む事にした。


黒尾
「今日は付き合ってくれてありがとな!すんげぇ楽しかった」


頭の後ろで手を組んで仰向けに横たわっているてっつんの顔は満足感を表していた。
この笑顔、好き...


あなた
「私こそお礼を言わないと。誘ってくれてありがとう」

黒尾
「どういたしまして」


私も横になろうと体を後ろに倒したら、手に何かが当たった。


黒尾
「俺が腕枕してあげる」


てっつんが腕を伸ばしていた。
何か惚れちゃった... 好きだからよく惚れているけどさ。


あなた
「うん... ありがとう...」

黒尾
「...なぁ、あなた...」


短い沈黙の後、彼は口を開いた。呼ばれたから体の向きを変えたら、お互いの距離がスゴく近い事に気が付いた。というのは、てっつんも仰向けから横たわる体制に変わっていた。そして、私の方に腕枕をしているから私の方に動く。
何これ... いつも以上にドキドキする...
顔を合わせないためにまた反対を向こうとしたら腰を掴まれた。


黒尾
「逃げるなよ...」

あなた
「別に逃げてない...」

黒尾
「じゃあ俺を見ろよ...」

あなた
「それは...」


出来ないよ...


黒尾
「あなた... お前が好きだ」


え... てっつんが... 私を"好き"...?


黒尾
「お前はどうなんだ...?俺を... 男として見ているか...?」

あなた
「私も...」


てっつんは気持ちを伝えてくれた。私だって同じ。私も言葉にしないと...


あなた
「私も鉄朗が好き...」

黒尾
「っ...!」


彼は驚いた表情を見せたけど、すぐ私をグッと引き寄せて抱きしめた。


黒尾
「俺と... 付き合ってくれるか...?」

あなた
「喜んで」


私もてっつんの背中に腕を回して顔を上げた。彼も私を見下ろしていたけど、顔を近付けて唇を重ねた。
キス、てこんな感覚なんだ...


黒尾
「お前に"てっつん"て呼ばれるのも良いけど、名前だともっとグッと来るんだよな」

あなた
「...鉄朗」

黒尾
「あー 可愛いな、もう!」


そしてしばらくの間私達はキスを交わし続けた。

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