ま、あなたは俺達のマネージャーになって、月日は経って俺も研磨も高校生になった。
黒尾
「おーい、研磨」
研磨
「分かってる」
部活が無い日はあなたを迎えに行く。全く方向が違うから遠回りになるけど、会いたいからあまり気にしなかった。
研磨
「本当にモテるよね、クロは...」
ゲーム機から少しだけ目を離して研磨は呟いた。
黒尾
「全く... 卒業しても変わらないのかよ...」
高校生の今もそうだけど、俺は中学の時からモテた。他校の女子も来るほど。あなたを待っている時によく絡まれるけど、上手くスルーしている。
研磨
「あなたの方も変わらないみたいだよ」
黒尾
「はぁ...」
正門に向かって来るあなたの周りは男子ばかり。彼女も昔から人気がある。
俺達、大変同士だな〜
あなた
「2人ともまた来てくれてありがとう!帰ろうか」
あなたは男子達に"じゃあね"と告げて俺の隣を歩いた。
黒尾
「お前もかなり長くモテるんだな」
あなた
「"も"て、てっつんは今も?」
黒尾
「あぁ... 何か面倒くさいくらい。お前はでもさ、何か嫌そうじゃないよな?何か方法とかあるのか?」
俺はあなた以外の女子に興味が無いから、絡まれるのも嫌いだ。あなたはどうなのか知らないけど、平気に見えるから訊いてみた。
あなた
「私?んー 方法なのか分からないけど、皆に言っているよ。好きな人がいるから、て。それによく、あまり話さない人達から告白されるから、お互いを知らない状態で付き合うのも好みじゃないから」
"好きな人がいるから"... そうなんだ...
あなた
「まぁ、で、友達としてなら仲良くしても良いよ、て私は言うからたいていOKされて、さっきみたいに囲まれる訳。簡単に言えばファンクラブ?私が言うのも変だけどさ」
俺の気持ちを知るはずもないあなたは話し続けた。
黒尾
「なるほど〜 良い方法じゃん、それ」
あなた
「皆にとって何か良い風になるからね。てっつんもそうしたら?」
黒尾
「おう、やってみる」
ま、それであなたが俺に告白してくる、みたいな事が起こる訳でもないと思うけど...
研磨
「さっさとクロがあなたに言えば良いのはに...」
あなたと別れて、研磨が口を開いた。
研磨
「そうすれば女子からの無駄がなくなる」
黒尾
「そうだけど...」
そんな事、昔から考えている。でも...
黒尾
「タイミング、てあるだろ。あなたはまだ中学生だからまだ早い気がする...」
研磨
「じゃあ、いつするの?」
黒尾
「...あなたが来年、高校生になったら」
研磨
「そう... そんな時が良いかもね」
黒尾
「あ"〜 あなたに早く音駒に来て欲しいわ〜」
研磨
「来るでしょ。幼稚園の時からずっと一緒だから」
だよな。俺達ずっと一緒だから...
早く気持ちを伝えたい...!
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!