目が覚めた時には、あなたは俺の腕の中にも自分の布団の中にもいなかった。
パジャマも畳まれている... もう起きたのか...?あ〜 俺達のために朝ご飯を作ってくれているのかも... 有り難いけど同時に何か申し訳ないな... こんな早くに起きて準備なんて...
夜久
「黒尾、起きたか」
頭上から声がしたら、夜久が着替えた状態で俺を見下ろしていた。
黒尾
「夜久パイセン、"おはよう"は無いんデスか」
夜久
「お前には言ってやらねぇよ。てか俺、見たからな?」
山本
「...!?夜久さん!何をですか!?」
夜久
「お前、やっぱりあなたに手を出しただろ」
山本
「何ー!」
黒尾
「うるせー、山本!でも夜久、俺は何もしてねぇぞ」
夜久
「は?じゃあ何でお前とあなたは一緒に寝ていた訳?」
見た、てそれか...
黒尾
「それは...」
研磨
「あなたは慣れない場所では寝れないんだ。それにクロが気付いて、一緒にいてあげたんでしょ?」
俺が説明しようと思っていたところを研磨が代わりにやってくれた。
ありがとな。さすが幼馴染。
黒尾
「ああ、そうだ。そしたら彼女はすぐに寝たよ」
海
「じゃああなたにも良かったな、黒尾が側にいてくれて。もし個人部屋だったら寂しかったかもしれないし、寝不足にもなっていたかもしれない」
夜久
「なるほどな... 悪かったな、疑って」
黒尾
「大丈夫」
良かった、変な誤解にならなくて...
コンコンコン
扉の向こうからノックが聞こえた。
あなた
「皆、おはよう。もう起きた?朝ご飯の準備出来たし、猫又監督と直井コーチも待っているから来てね」
あなただった。
そうだな、早く食べたい。
黒尾
「ありがとう。よし!しっかり力を付けて今日もやるぞ!」
男子
「おーっす!」
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。