黒尾
「なぁ、来週の金曜日は部活オフだろ?学校の後に出かけないか?」
宮城から帰って来た数日後、あなたに訊いてみた。いわゆる放課後デート。
ずっと言わないでいるのはじれったいし、この前あなたが烏野の2番クンと、絵を見せながら楽しそうに話していたのが何か気に入らなかった。まぁ、アイツは良いヤツなんだよ... 明るくて皆に対して優しくて...
だからそろそろ告白した方が良いと思った。
あなた
「良いよ。他にも誰か来る?」
黒尾
「いや、俺達2人だけ」
気付いていないか...
あなた
「お、良いね〜 それ!高校生らしくて」
あれ、やっぱり分かっている?あ... いや、でも彼女が言っている"高校生らしい"は放課後のお出かけの事で、放課後デートじゃないだろ...
あなた
「久しぶりにてっつんとお出かけだー!」
黒尾
「しかも2人きりな」
少し強調して言った。普段は研磨も一緒だから、今回は違うんだぞ、と分からせたかった。
あなた
「うん、そうだね。何かもう楽しみだな」
黒尾
「俺も。じゃあ、その日は迎えに行くから教室で待っていろよ」
あなた
「ありがとう ^^」
まだ付き合っていないけどあなたとデートか... ドキドキするなぁ...
黒尾
「...という訳で、邪魔とか尾行するなよ?」
部室で着替えている時に皆に忠告した。せっかくの時間を台無しにされたら堪らないからな...!
リエーフ
「えー 何でですか?見てみたいじゃないですかー」
夜久
「アホか、お前は!デートは2人きりのままが良いんだよ。気付いたら雰囲気が壊れるかもしれないんだから、避けるべきだろ」
海
「俺と夜久がリエーフを止めるよ、邪魔しそうになったら」
同じ3年生は気が利くな... 感動。
黒尾
「ああ、頼もしいよ」
研磨
「クロとあなただから楽しめるよ。それから告白も大丈夫だよ」
黒尾
「"大丈夫"って...」
研磨
「あまり言わないでおくよ。でないとクロ、余計な心配で頭がいっぱいになるかもしれないから」
黒尾
「おいおい、研磨クン。そう言われるとマジで分からなくなりますぅー」
研磨
「あなたとデートしている時を楽しめば良いんだよ、て事」
黒尾
「...!まぁ、そうだな。研磨もありがとな」
研磨
「別に...」
研磨
「あなたもクロが好きだから、て言うものじゃないでしょ...」
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!