第5話

絵と観察
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2020/09/29 16:18
あなたside


課題の「学校での発見を描く」はてっつんにしよう。レシーブとかブロックの姿がカッコよすぎる...
そう決めて、私は彼をよく見ながら絵を描き始めた。





男子バレー部
「お疲れ様でした!」


部活が終わると同時に絵も完成した。


黒尾
「あなた〜 一緒に帰ろうな」

あなた
「うん!でさ、これ見て」


恥ずかしさもあったけど、頑張ったからてっつんに出来上がった絵を見てもらいたかった。


黒尾
「ん?どれどれ〜... あなた... お前...」

あなた
「な、何...?」


気に入ってもらえなかったかな...?どうしよう...
心配になったら、気付けば彼に力強く抱きしめられていた。


あなた
「うわっ...!」

黒尾
「さすがあなた!ヤバすぎる程に上手いぞ!」

研磨
「え、俺にも見せて」

男子
「俺達にもー!... うわ、マジでスゲぇ!」

黒尾
「だろ!」

キャプテン
「美術には詳しくないけど、観察力がスゴい、て感じだな。あなたさんでしたっけ?」


キャプテンが私に振り向いた。


あなた
「はい」

キャプテン
「良かったら俺達のマネージャーになりませんか?他の女子と違って騒がないし、君の観察力も練習とかに活かせるかもしれない」

あなた
「え、でも私は既に美術部に...」

キャプテン
「兼部でも良いから!」


彼に手を握られた。勢いが...


黒尾
「キャプテン。あなたを急か...」

あなた
「兼部でも本当に大丈夫なんですか...?」

キャプテン
「大丈夫だ。美術部だし、君なら出来る」


美術部には絶対に残りたい。でも、平行にバレー部のマネージャーもやって、てっつんを近くから見れるなら... それに皆も何か良い感じだし...


あなた
「...やります... マネージャー...」

キャプテン
「本当に!?ありがとう!じゃあ、これからよろしく!」

黒尾
「あなたサン、何で俺がマネージャーやらないか訊いた時は断って、キャプテンにはOKするんデスか」


あ... てっつんが拗ねてる...


あなた
「その時はここの雰囲気を知らなかったからさ... ね?」

黒尾
「そうかもしれねぇけどよ...」

キャプテン
「ほら!さっさと片付けを終わらせて帰るぞ!」





黒尾side


部室で着替えている時、俺はまだ少しイライラしていた。
何でキャプテンの言う事は聞いたんだよ... 俺だってマネージャーやらないか誘ったのに...


研磨
「でも嬉しいでしょ?」

黒尾
「っ!研磨...!まぁ... まぁな...」

キャプテン
「黒尾〜 お前、あなたちゃんが好きなんだろ?俺に感謝しな〜」


確かにキャプテンが訊かなかったら、あなたが俺を練習しているところを見るのはあの1回きりになっていたかもしれない...


黒尾
「ありがとう... ございます...」


これで、マネージャーとして側にいて欲しい願いは叶った...

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