Vliveを終えてから何分かたった。
さっきから携帯に着信音が鳴り響いている。
電話を繋いでもすぐにきられ、また出てもきられた。
ホント何回目か分からない。一日に20回は掛けてきてるだろう。
でも、あの人の可能性を信じて電話をとる。でも違う。
prrrrrrrrrrrrrrrrrrrrr prrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrr
耳元で鳴り響く着信音。
でも出ようと思わなかった。
さっきからの迷惑電話にイラついてイラついてしかたがないんだ。
このまま携帯壊してやろーかな。
ふいに頭にあの人の声がよぎった。
«ごめんなさい…ごめんなさい…»
震える体と声、眼鏡とマスクを外した時の顔。
僕はスマホに手を伸ばして電話に出た。
少し声があの人に似てたかもしれないが、今僕は物凄い機嫌が悪い。
長い沈黙が続く。余計に腹が立って切ってしまおうと思った。
何か小さい声でボソボソ言ってたのを遮ってきつい言葉を放つ。
違う違う。こんなんじゃ前と変わらないじゃないか。
また小さな声で謝られた。
さらに謝られたことに腹が立ち電話を勢いよく切る。
もう辞めてくれ、迷惑電話なんて…
ベッドに寝転がり右手を顔の前で曲げ、目を覆う。何も考えずに天井を眺めた。
prrrrrrrrrrrrrrrrrrrr prrrrrrrrrrrrrrrrrrrr
また渋々と電話を出た。
さっき聞いた小さくてボソボソしている声を耳にした
別に要件はないとは言われてはないけど、謝られたってことはそーゆーことでしょ?
また沈黙が続いた。
怒鳴ってやろうかと思ったけど、予想外な言葉を発された。
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!