第2話

《 1 月 10 日 》
133
2019/03/15 15:54
白野 羽音 (シラノ ハオ)
白野 羽音 (シラノ ハオ)
悠虎、起きて。
坂川 悠虎 (サカガワ ユウト)
坂川 悠虎 (サカガワ ユウト)
ん…。
朝8時。悠虎は休みの日、睡眠時間が長いらしい。
長い…というか…夜寝るのが遅い…と言う方が正しいのかもしれない。
なんだかんだで昨日は何もなかった。
家具の搬入でお互いヘトヘトになってしまったのだ。
白野 羽音 (シラノ ハオ)
白野 羽音 (シラノ ハオ)
家具…見に行きたいの…。
坂川 悠虎 (サカガワ ユウト)
坂川 悠虎 (サカガワ ユウト)
デート?
会話を噛み合わす気がどうやらないらしい。
でも悠虎にとっては家具を見に行くことさえもデートなのかもしれない。
坂川 悠虎 (サカガワ ユウト)
坂川 悠虎 (サカガワ ユウト)
いいよ。デートね。
白野 羽音 (シラノ ハオ)
白野 羽音 (シラノ ハオ)
どうしてもデートってことにしたいのね?
坂川 悠虎 (サカガワ ユウト)
坂川 悠虎 (サカガワ ユウト)
したいというかデートだろ?
俺と2人で出かけるんだ、デートだ。
悠虎はニヤリと笑ったあと、服を着替え始めた。
白野 羽音 (シラノ ハオ)
白野 羽音 (シラノ ハオ)
あっ…じゃあ私あっちで待ってるね。
悠虎が服を脱ぎ出したため、目を逸らしてリビングへ行こうとした。
坂川 悠虎 (サカガワ ユウト)
坂川 悠虎 (サカガワ ユウト)
なんで?
坂川 悠虎 (サカガワ ユウト)
坂川 悠虎 (サカガワ ユウト)
ここにいたらいいじゃん。
メイクも着替えも終わってそうだし。
白野 羽音 (シラノ ハオ)
白野 羽音 (シラノ ハオ)
や、あの…そゆ問題じゃ…
私は悠虎と目を合わせずに言った。
早朝からなぜこんな雰囲気になっているんだ。
坂川 悠虎 (サカガワ ユウト)
坂川 悠虎 (サカガワ ユウト)
あぁ、俺が脱いだからか。
そう気づいても満足そうな表情で着替え続けていた。
リビングに行った私はチラリと横目で悠虎を見た。
白野 羽音 (シラノ ハオ)
白野 羽音 (シラノ ハオ)
(やっぱ…いい体格してる…)
坂川 悠虎 (サカガワ ユウト)
坂川 悠虎 (サカガワ ユウト)
なーに。やっぱり気になってんじゃん。
この人は360度に目が付いているのではないか?
本当に私のことをよく見ている。見透かしているのか?いや、どちらでもいい。
ドキッとした私は何も言えずだった。
坂川 悠虎 (サカガワ ユウト)
坂川 悠虎 (サカガワ ユウト)
素直に触らせてくださいって言ってみればいいのに。
悠虎は微笑みながらジャケットを羽織った。
白野 羽音 (シラノ ハオ)
白野 羽音 (シラノ ハオ)
そんなこと…言えるわけないでしょ。
坂川 悠虎 (サカガワ ユウト)
坂川 悠虎 (サカガワ ユウト)
…つか。もう見慣れただろ?俺の身体なんて。
なんということを言い出すんだ。
見慣れるなんてものじゃない。
見慣れるなんてとんでもない。
白野 羽音 (シラノ ハオ)
白野 羽音 (シラノ ハオ)
じゃあ逆に私の慣れた?
坂川 悠虎 (サカガワ ユウト)
坂川 悠虎 (サカガワ ユウト)
……ごめん。前言撤回…。
全く慣れない…。
しゅんとした様子で悠虎の全身の動きが止まった。
こんな姿を見たのは何ヶ月ぶりか。
白野 羽音 (シラノ ハオ)
白野 羽音 (シラノ ハオ)
…朝ごはんはどうする?
パンはあるからサンドイッチでもいい?
坂川 悠虎 (サカガワ ユウト)
坂川 悠虎 (サカガワ ユウト)
いいよ。ありがとう。
──────────
家具屋についた。
駅から近く、デパートの中にある大きな家具屋。可愛いものからかっこいいものまでそろっている。
坂川 悠虎 (サカガワ ユウト)
坂川 悠虎 (サカガワ ユウト)
どんなのがほしいの?
白野 羽音 (シラノ ハオ)
白野 羽音 (シラノ ハオ)
うーん…リビングに置く棚が欲しいの。
白野 羽音 (シラノ ハオ)
白野 羽音 (シラノ ハオ)
お花を飾ったり、写真を置いたり、こう…おしゃれに何かをしたいの。
坂川 悠虎 (サカガワ ユウト)
坂川 悠虎 (サカガワ ユウト)
なるほどね…。
これとかは?
悠虎が指さしたのは黒がかった茶色の棚。
台の位置が変えられて、一角の大きさも変えられそうな感じの大きめの棚だ。
白野 羽音 (シラノ ハオ)
白野 羽音 (シラノ ハオ)
あ、いいかも。
白野 羽音 (シラノ ハオ)
白野 羽音 (シラノ ハオ)
側面にマステとかでラインを入れてみるのもアリかな。
坂川 悠虎 (サカガワ ユウト)
坂川 悠虎 (サカガワ ユウト)
部屋に合うものになりそう。
白野 羽音 (シラノ ハオ)
白野 羽音 (シラノ ハオ)
これにしとこっか!
とまぁ今日はあっさりと決まった。
金額がそんなに高くないため、品質は少し大丈夫かと心配ではあるが、サンプル品を触った限りでは大丈夫そうだ。
いつもは優柔不断な私と悠虎だが、何があるのか、今日はあっさりだ。
会計を済ませ、明日の夕方に配達されるように手配した。
白野 羽音 (シラノ ハオ)
白野 羽音 (シラノ ハオ)
ありがとう。お買い物、付き合ってくれて。
坂川 悠虎 (サカガワ ユウト)
坂川 悠虎 (サカガワ ユウト)
私のって言うより「俺たちの」って感じだけどな?楽しかったよ。
白野 羽音 (シラノ ハオ)
白野 羽音 (シラノ ハオ)
そうだね
私達は顔を見合わせて「ふふっ」と笑いあった。
この瞬間がいつも幸せだと感じる。
目的の物を買い終えた私達はデパート内をぶらぶらすることにした。
日曜日であることもあって、かなり人が多い。
坂川 悠虎 (サカガワ ユウト)
坂川 悠虎 (サカガワ ユウト)
羽音。手。
私の返事も待たずして腕と腕を合わせ、間もなく私の指と指の間に悠虎の指が絡んできた。
こういう所、上手い。
隙を与えない所、すごく。
坂川 悠虎 (サカガワ ユウト)
坂川 悠虎 (サカガワ ユウト)
こんなに人が多いから…飲み込まれていきそうだな…。手、絶対離さないで。
白野 羽音 (シラノ ハオ)
白野 羽音 (シラノ ハオ)
うんっ…。
なぜこんなにサラッと言えてしまうんだ…。
まさか…。これが大人の余裕というやつなのか…。
このまま数時間、あっという間に過ぎていった。
1年程前まではこの楽しい時間が終わってしまうのが辛くて仕方なかった。
別れるときの背中を眺めなければならないのが辛かった。

でも今日は。
同じ道を通り、同じ家に帰る。
変な感じ。でもすごく幸せなのだ。

足並みが自然と揃い、その足並みを見て思わず笑みが零れた。

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