第6話

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2019/04/18 04:31

お昼休み。

皆が お弁当を片手にクラスメイトや他のクラスの子達と机をくっつける姿を横目に
私はスマホとお弁当を持ち、教室を出る



お昼を仲良く食べる仲のいい友達なんて居ない


別に教室で1人食べるのでもいいのだが
やはり居心地が悪い。


だから私は、最近のお気に入りの場所へと向かう。


「ふぅ…」


そう息を漏らし、日陰になってる建物付近に行き、壁にもたれる。


そう。ここが私のお気に入りの場所。


中庭は風がスーッと入ってきて、気持ちいいし
何より人気がない。

風にカサカサと揺れる木の葉の音もどこか
私の心を落ち着けてくれる。



「いただきます」


弁当を開き、手を合わせてそう言い 卵焼きに手を伸ばそうとしたその時…


「何だ、人居んじゃん」


横からそんな声が聞こえた。

私は声の聞こえて来た方に目線を向ける。


そこには 今日転校してきた…名前なんだっけ

不良が居た。



お昼休みという 心休まる大切な時間すらも
奪われてしまうと思うと 少し苛苛してしまう


「ごめんなさい。先約です」


私は短く そう答え、掴むはずだった卵焼きを今度こそ掴んだ。



「別にお前だけの中庭じゃないだろ」


不良はそう言い、ドカッと私の近くに腰を下ろした。


むむむ…… 何故立ち去らない、、、

こんな人気のない所で1人で食べてるということはそういうことでしょ?

デリカシーないの??



「人が近くに居るの嫌なんでしょ?他にも人が居ないとこなんてあるんだからそっち行きなよ」


苛苛してたのもあり、少しきつくそう言ってしまった。

相手は不良。

癇に障ったはずだ。殴られる?脅される?もしかして……殺される!?!?



急に冷静になると そんな考えが頭をよぎる。


1人顔を真っ青にしてアワアワしてると


「クックッッッ」


そんな私とは対照的な 笑い声。

この笑い声がこの目の前に居る不良から発せられているという事実を理解するのに、少し時間がかかってしまった。



頭の上にクエスチョンマークを沢山浮かべてる私をよそに、不良は目に涙を浮かべお腹を抱えて笑っていた。

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