あれから、1週間後。
文化祭が始まった。
「ぎゃああああ!!」
「かっこいい!」
となんだか騒がしい。
「何かあったの?」
と舞台裏を覗くと私と同様、光となるも着替えていた。(劇の衣装に)
「……ッ」
バサッ
光の王子様姿に動揺してしまった。
急いでドアを閉めた。
(何あれ…やばいッ)
「あれ?凛ちゃん!」
「あ、なる…」
ドアを開けたなるも王子様姿だった。
「か、可愛い…!」
「…へ?」
「お姫様~!」
「あ!ドレス?でしょ!このドレスとってもキレイなの!」
「ドレスじゃなくって…」
となるがいいかけた時光が来た。
光が私を見て口を手で覆っていた。
「光?」
「いや、何も…。もうすぐだから」
と言い捨て言ってしまった。
(やっぱり、私じゃ可愛いとも思わないのかな…。)
でも!このドレス可愛いもん!!
─────
そして、劇が終わった。
「……」
ドキドキが止まらない…。
私、なんて事を…?
「り、凛…」
と顔を赤く染めた光が来た。
「…ッ」
私は怖くなり走り去ってしまったんだ。
「あ!り、凛ッ」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「…言ってどうするの?」
成瀬が俺を止めた。
「な、成瀬?」
「まあ、これで凛ちゃんの気持ちが分かったんでしょ?」
「……ッ」
成瀬は何かを抑えた顔をして言い捨てた。
「君には、彼女がいるんだ。もう、凛ちゃんに構わない方がいいんじゃない。」
「……ッ」
俺は何も言えなかった。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「凛ちゃん!」
凛ちゃんは、裏庭でドレス姿のままうつむいていた。
そして、凛ちゃんは僕に気づいて胸に飛び込んできた。
「ど…どう…どうしよう…!わ、私…ッ」
と泣き崩れていた。
(ひどい顔だ…、)
「大丈夫…、な?」
「うぅ…ふっ…ふぇぇ…」
僕は、泣いている凛ちゃんの頭をポンポンした。
今、僕が出来るのはこれしかないんだから…。
劇のことだったんだ。
凛ちゃんがあんな行動をとるなんて思いもしなかった。
あの時は、僕も…驚いた。
『私、この人と結婚します!』
と姫がいい、隣の国の王子が
『僕も、この人が大切だ!』
と言って姫に抱きつくはずだった。
いや、そこまでは良かったんだ…。
大沢くんが凛ちゃんに抱きついた後、凛ちゃんがアドリブを入れた…
凛ちゃんが大沢くんにキスをしたんだ…。
クラスのみんな。
いや、体育館にいる全員が驚いていた。
そして、大沢くんも…
凛ちゃんも…
顔を赤くして、そのまま劇が続けられた。
でも、ふたりは何となくギグシャグしていたのは見ていてすぐにわかるんだ。
(…凛ちゃん)
僕の…目の前でして欲しくはなかった。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
そして、文化祭は終わった。
帰りのことだった。
私のお母さんがいたのだ。
「え?お、お母さん!?」
「凛…」
と少し悲しそうに笑っていた。
「…?」
お母さんが少し変だった。
「家に帰ったらね、話したいことがあるの。」
「話?う、うん」
「その前に、劇凄かったわよ~。
でも、うまく見えなくてね。凛のキスシーンは凄かったわね~。」
「え!」
私は動揺した。
(お母さんも見てたんだ…!)
「でも、したように見えるわね~。目が悪くて分からなかったわ」
(ん?)
「え?」
「ん?あれ、フリでしょ?」
(ああぁ!お母さんが目が悪くて良かった…!)
「うん!そうだよ~」
「ふふ、凛も頑張ってるのね。」
「うん。」
そして、家へ帰った。
それから、夜のことだった。
私の恋が終わるんだと思ったんだ。
お父さんが帰ってきた。
そして、3人で座って。
お父さんがゆっくり言った。
「凛…実は ───── なんだ…」
「……え」
私の目の前は真っ暗に染まった…
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。