第22話

秘密を知り… 1
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2018/06/01 10:47
「……え」

「知らなかった…の!?成瀬くん…。
ごめん、知ってると思って。」

金木くんが頭を下げながら謝ってくる。

「…いいよ。大丈夫」

ほんとは大丈夫なんかじゃない…
そんなの、凛ちゃんは一言も言ってくれなかったじゃないか。

ひどいよ…

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

放課後の前の時。

僕は、部活をしていて帰る時に忘れ物をして教室に取りに戻っていたときだった。

「凛の奴、ちゃんと友達に話なんだろうな?」

「わかんないな。
でも、アメリカは遠すぎると思うよ。
伊野さんの親って何してるの?

確か、父親が大きな会社の偉い人…とは聞いてる。」

「そうなんだ…
だから、転勤を。」

転…勤…?
凛ちゃんが?

「成瀬にも言ってなさそうだった…」

「あ、そうなんだ。幼馴染だしもうとっくに…」

「でも、仕方ないだろ。
大切な幼馴染にはさ、言いにくいんだと思うよ。」

「それもそうだよな…」

何それ…
なんでふたりは知ってるのさ。

ガタッ

僕は、音を立ててしまい話していたふたりが僕に気がついた。

「成…成瀬」

「成瀬…くん…」

ふたりとも気まずそうだった。

「凛ちゃん、引っ越すの?いなくなるのかよ」

「…ああ。」

大沢くんが静かに言った。

「なんで、二人は知ってんの?」

「瑠夏の親がさ、凛とこの親と仲良くて。
それで聞いたんだよ。」

「じゃあ、本人はまだ誰にも…?」

「そーなるな…」

「どうして…」

もう僕の心はボロボロだ…

何も考えられない…

次は凛ちゃんが離れていくの?
やっと…やっと、会えたと思っていたのに。

そんなの、ひどいや。
神様って不公平すぎ。

ずるすぎ…

そして、大沢くんは最後に言った。

「多分、凛のことだから自分の心配されたくないんだよ。分かるだろ?あいつさ、そうゆうやつだし…」

「うん…」

「だから、本人が言うまで黙っててくれねーか?あいつも、心の準備が必要なんだよ。

きっと。」

「うん、大沢くんの言う通りかも。

ほんとは、君のこと最初は恨んでた。

でも、恨んでなかった。
ただ、羨ましかったんだと思う。」

そして大沢くんは、あの時と同じ顔をした。

きっと

" 任せた "

そんなふうに言っている気がした。

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