「ひ、光…!?」
「え?り、凛…」
莉久が驚いていた。
莉久の隣はなるだった…
最後の席がここになる。
私の最後の席…隣は、光で…斜め前はなる…。
嵐の予感…
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「嘘…だろ。」
「大丈夫かー?光」
今は昼。
それぞれ好きな場所で好きなものを食べる時間。
今日は一段とマイナスモード。
なんで、隣が凛で前が成瀬なんだよ…
こんな時に限って、
俺って運ねーわ。
でも、凛とは話したかった。
あの日の…キスはなんだったのか。
だいたいは分かっているがもしかしたら…
と思うんだ。
「凛、よろしくな…」
遠慮がちに言うと、凛は一瞬ビクッとして言った。
「うん、まさか光とは思わなかったよ~」
とえへと笑っている。
普通…だな。
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まさか光が普通に話しかけるとは思わなかった私は一瞬動揺した。
でも、ぎこちなくするとなんだかあ悪いと思ったこともなり、私は出来るだけ普通に接することにした。
それから一週間が経った。
正直、その席には慣れた。
光もそれなりに接してくれる。
(ぎくしゃくしなくて…よかった…)
これでまた、昔のように最後まで仲良くいけると思った。
でも、思うの。
授業中に居眠りしたたり…
グループの時だったり…
色々なところを隣だから…光の事がすごく分かっていく。
それが嬉しかった。
でも、切なかった。
また、好きが増えていく…
すごく嬉しいけど、その分切ないんだ…
私はどうせ、光とは友達のままで終わるのだから。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
最近の凛ちゃんは元気だ。
やっぱり、好きな人が隣だから?
僕じゃ、キミを笑顔にできないのか…?
そんなこと分かってる。
それでも、もう。
我慢の限界だ。
僕は我慢した。
だから、もういいよね…
大沢くん。
キミには彼女がいるのだから…
泣いた凛ちゃんを抱きしめて分かったんだ。
凛ちゃんは大沢くんといると、悲しむ。だから、僕が寄り添ってあげるんだ。
だから、凛ちゃんを奪うよ…
────
いよいよ、なるが動き出す…
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!