第18話

ボクらしく - なる -
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2018/05/28 11:03
「な、なる!?」

「凛ちゃんは、キミには渡さない…!
あんたには、彼女がいるくせに!」

「な、成瀬…」

大沢くんが目を大きく開いている。

(自分でも、何しようとしたか驚いてる…)

そっか。
まだ、自分の気持ちに気がついてないんだね。

大沢くんも、凛ちゃんが好きなんだよ…

でも、そんな事は言えなかった。

「な、なる…何でここに?」

「これ。」

僕が出したのは、凛ちゃんの探していたわたあめちゃん。

「これ、落ちてた。」

「よ、良かった…!」

と僕の手からわたあめちゃんを抱き寄せた。

(大切にしてくれているんだな…)

そして、ここからが本番だ。

大沢くん。

「キミは、凛ちゃんが好きなんでしょ?」

僕がいうと大沢くんは驚いていて、言葉が出ていない。

「な、なる!?何、聞いてんの?とゆうか、雨やんだしそろそろ…」

「まず、話から。」

と凛ちゃんの言葉をさえぎった。

「でも…」

そして、大沢くんが突然声を出した。

「分かってる。でも、話は後からだ。
とりあえずまずは湖まで行くぞ。」

「……ッ」

確かに、その通りかもしれない…

「分かったよ。」

「おう、戻るぞ。」

何だか大沢くんが頼もしく見える。

そして凛ちゃんを見ると、凛ちゃんは顔を赤らめて大沢くんを見ていた。

「…。」
僕じゃ、ダメなの…?

心の中で叫んだ。

「へっくしょっん!!」

大きな声が突然出たものだから大沢くんと僕は背中をビクッとさせた。

「ご、ごめん…ズピッ」

と凛ちゃんが鼻水をすすった。

「寒いの?」

「うん、少し冷えたね。
でも、もうすぐで湖だし!」

フワッ

「え?ひ、光?」

「寒いんなら、着てたら。」

「あ、ありがと…」

凛ちゃんは大沢くんのジャージを羽織った。

「…」

大沢くんは僕のとは違う…

わかんないよ。

僕も大沢くんみたいに気が利く男子になったら、僕に振り向いてくれるの?

いや、違うよね…
きっと、" 大沢くん" だからだよね。

わかってる。
僕だって、凛ちゃんだから好きになったんだ。

僕に勝ち目はないよね。

「着いた。」

「わぁ!キレー!」

僕が考えている間に湖についたみたいだ。

その湖は、スカイブルー色に染まっていてとても綺麗だ。

噂されているところ、当たったんだ。

(僕も見たかったし…)

なぜだか、モヤモヤが消えた気がした。

そして、誰かの声が聞こえる…

『あなたはあなたらしくていい』

って。

そうだよ。
僕は、僕。

みんなは、みんな。

僕らしく…
僕らしいアピールでいく。

そして、キャンプファイヤーの時に大沢くんを呼び出した。

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