第3話

スキのスレチガイ
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2018/05/09 09:22
「…中川、お前何してんだよ」

「…大沢くん」

「ひ、ひかる…、なんでここに」

「たまたまだよ。」

(どうして…、光は助けてくれるの?
どうしよう…泣いちゃいそうだよ。)

「なんなのよ!」

そして、中川さんはそのまま走って逃げた。

「っわ!ちょ、中川さん?!」

と、中川さんはたまたま来た奈々にぶつかったみたい。

そして、奈々達は私と光に気づいて驚いていた。

「な、何それ!どーしたの!」

「お、大沢くん!?凛ちゃん!」

「…ッ」

私は何も言えずうつむいた。

「とにかく、俺と凛は保健室行ってくるわ。
こんなベトベトじゃーな。」

「う、うん…ありがと、光」

あれ…目眩がする…

バタッ

「り、凛!」

「凛ちゃん!?」

と私を呼ぶ声が聞こえた。

でも、そのまま私は倒れ込んでしまった。

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「と、とりあえず!早く、凛を保健室に連れていかないと!」

早見が驚きながらも冷静さを保って言う。

「ああ、俺が連れてくよ。」

俺は凛を持ち上げ、保健室へと急いで行った。

すると、周りから声が聞こえてくる。

「あれ?あれって、大沢じゃね?」

「抱いてんの、伊野じゃん」

「ヒューヒュー」

と冷やかされている。

(こんな時に、うぜぇ)

少しキレた俺は、怒鳴りあげた。

「うるせぇ!病人運んでんだよ!」

周りは、それを聞き青ざめていた。

(くそが…。)

そして、保健室へ行くと先生がいた。

「先生」

「あら?え!?」

「こいつ、お願いします」

と俺はベッドに凛を優しく降ろした。

「確か、伊野さんと大沢くんよね?
伊野さん、どうかしたの?
事情を教えてくれるかな?」

と俺にタオルを渡しながら言った。

そして、先生は俺の服を見て驚いた。

「なな、な、血!?」

「いや、これジャムです」

「あ、ああ…ジャムね。驚いたわ…」

と安心していた。

「じゃあ、伊野さんは見ておくからあなたもジャージに着替えてきたら?その方が、良さそうね。」

「わかりました」

「着替えたらまた来てちょうだい。
事情を聞くから」

「はい」

(そういえば、なんで…。中川は、凛を…やっぱ、苗の言う通りなのか?)


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「失礼します」

「は~い」

俺は着替えを済ませ、保健室へ来た。

「ありがと。じゃあ、伊野さんって体が弱い?訳では無いわよね」

「だと思いますよ。いつも、バカみたいに動き回ってるし」

「ふふ、そうなのね。
あなたもよく、伊野さんを見てるのね~」

「は!?そう有意味じゃないッスよ!?」

「ふふ、そうね。」

(青春だわ…)

「学生時代を思い出すわね~」

と先生は、つぶやく。

「そうそう、伊野さんどこで倒れた?」

「屋上です」

「あらら、じゃあ大丈夫ね」

「え?なんでですか?」

「貧血だもん」

「!?」

(た、ただの貧血か…良かった)

と落ち着いた。

やっと、肩の力が抜けたのかもしれない。

「あ、先生さ、会議があるからそれまで伊野さん見ててくれない?すぐ、戻るから」

「わ、わかりました」

先生は急いで保健室を飛び出して行った。

「忙しい先生だな」

そして、凛の方を見ると、凛は気持ちよさそうに寝ていた。

「貧血…ね…」

俺は凛の手を握り、「良かった…」とつぶやいていた。
でも、俺自身なんでそんな事を言ったのだろうと思う。

ガタッ

「ん?」

後ろから物音がした。

後ろを振り向いても誰もいない。

(気のせいか…?)

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

私は見てしまったんだ。

光くんのあの表情を。

心配そうに伊野さんに顔を向けながら走る姿。

保健室で、良かったと安心していた姿。

きっと、私にはそんなの向けてくれない。

伊野さんだから…伊野さんだから、あの表情を向けているのかもしれない。


私は中学の頃からほんとは知ってた。

伊野さんが、光くんを好きなのを…。

「でも、嫌だった…」

取られたくないと思った。
だから、告白したんだ。

初恋で、初めての気持ちをくれた光くん。
大切にしていきたい。
この時間を。
今を。


でも、それももう、なくなりそうだよ…。


簡単な感想待ってます😭

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