「…中川、お前何してんだよ」
「…大沢くん」
「ひ、ひかる…、なんでここに」
「たまたまだよ。」
(どうして…、光は助けてくれるの?
どうしよう…泣いちゃいそうだよ。)
「なんなのよ!」
そして、中川さんはそのまま走って逃げた。
「っわ!ちょ、中川さん?!」
と、中川さんはたまたま来た奈々にぶつかったみたい。
そして、奈々達は私と光に気づいて驚いていた。
「な、何それ!どーしたの!」
「お、大沢くん!?凛ちゃん!」
「…ッ」
私は何も言えずうつむいた。
「とにかく、俺と凛は保健室行ってくるわ。
こんなベトベトじゃーな。」
「う、うん…ありがと、光」
あれ…目眩がする…
バタッ
「り、凛!」
「凛ちゃん!?」
と私を呼ぶ声が聞こえた。
でも、そのまま私は倒れ込んでしまった。
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「と、とりあえず!早く、凛を保健室に連れていかないと!」
早見が驚きながらも冷静さを保って言う。
「ああ、俺が連れてくよ。」
俺は凛を持ち上げ、保健室へと急いで行った。
すると、周りから声が聞こえてくる。
「あれ?あれって、大沢じゃね?」
「抱いてんの、伊野じゃん」
「ヒューヒュー」
と冷やかされている。
(こんな時に、うぜぇ)
少しキレた俺は、怒鳴りあげた。
「うるせぇ!病人運んでんだよ!」
周りは、それを聞き青ざめていた。
(くそが…。)
そして、保健室へ行くと先生がいた。
「先生」
「あら?え!?」
「こいつ、お願いします」
と俺はベッドに凛を優しく降ろした。
「確か、伊野さんと大沢くんよね?
伊野さん、どうかしたの?
事情を教えてくれるかな?」
と俺にタオルを渡しながら言った。
そして、先生は俺の服を見て驚いた。
「なな、な、血!?」
「いや、これジャムです」
「あ、ああ…ジャムね。驚いたわ…」
と安心していた。
「じゃあ、伊野さんは見ておくからあなたもジャージに着替えてきたら?その方が、良さそうね。」
「わかりました」
「着替えたらまた来てちょうだい。
事情を聞くから」
「はい」
(そういえば、なんで…。中川は、凛を…やっぱ、苗の言う通りなのか?)
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「失礼します」
「は~い」
俺は着替えを済ませ、保健室へ来た。
「ありがと。じゃあ、伊野さんって体が弱い?訳では無いわよね」
「だと思いますよ。いつも、バカみたいに動き回ってるし」
「ふふ、そうなのね。
あなたもよく、伊野さんを見てるのね~」
「は!?そう有意味じゃないッスよ!?」
「ふふ、そうね。」
(青春だわ…)
「学生時代を思い出すわね~」
と先生は、つぶやく。
「そうそう、伊野さんどこで倒れた?」
「屋上です」
「あらら、じゃあ大丈夫ね」
「え?なんでですか?」
「貧血だもん」
「!?」
(た、ただの貧血か…良かった)
と落ち着いた。
やっと、肩の力が抜けたのかもしれない。
「あ、先生さ、会議があるからそれまで伊野さん見ててくれない?すぐ、戻るから」
「わ、わかりました」
先生は急いで保健室を飛び出して行った。
「忙しい先生だな」
そして、凛の方を見ると、凛は気持ちよさそうに寝ていた。
「貧血…ね…」
俺は凛の手を握り、「良かった…」とつぶやいていた。
でも、俺自身なんでそんな事を言ったのだろうと思う。
ガタッ
「ん?」
後ろから物音がした。
後ろを振り向いても誰もいない。
(気のせいか…?)
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私は見てしまったんだ。
光くんのあの表情を。
心配そうに伊野さんに顔を向けながら走る姿。
保健室で、良かったと安心していた姿。
きっと、私にはそんなの向けてくれない。
伊野さんだから…伊野さんだから、あの表情を向けているのかもしれない。
私は中学の頃からほんとは知ってた。
伊野さんが、光くんを好きなのを…。
「でも、嫌だった…」
取られたくないと思った。
だから、告白したんだ。
初恋で、初めての気持ちをくれた光くん。
大切にしていきたい。
この時間を。
今を。
でも、それももう、なくなりそうだよ…。
簡単な感想待ってます😭
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。