第2話

スキのゴカイ
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2018/05/07 10:44
「苗!待てって!」

俺は苗の腕を掴んだ。

そして、苗の顔を見るとポロポロと大きい目から涙が出ていた。

「ご、ごめんね…ッ私のせいで、光くん…それに、伊野さんまで…ッ」

と謝ってきた。

「苗は、悪くないよ。凛だって、悪くないんだ…。俺が、買い物を頼んだから。」

「うん…、私のためにこんなことになっちゃって…中川さんはただ、伊野さんが羨ましいんだよ。」

「え?中川が、凛を?」

「うん、伊野さんは何でもできるし、モテるから。」

「凛って、モテんの?まぢか!」

「それが、憎かったんじゃないかな。
だから…」

「そうなんだ…。なあ、苗。」

「なに?」

「信じてれてありがとな。
じゃあ、俺教室に戻るわ。実はさ、宿題が終わってねーんだよな」

と笑いながら言う。

すると、苗は笑って

「うん、頑張って」

とだけ言った。

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今朝のこともあり、クラスの皆から距離を置かれた私。

でも、親友の奈々と莉久(りく)は当然のように隣にいてくれる。

(奈々と莉久がいてくれて本当に良かった。)

そして、光が戻ってきた。

「凛!」

と私の名前を突然呼んだ。

「苗の誤解はちゃーんと、解いた!
それから、数学の宿題見せてくれ~!!」

と念入りに手を合わせる。

「そっか、良かった。」

と私は一旦言って、ため息をついて言った。

「あんたさ、宿題やんなさいよ。
成績悪いのがバレバレよ…」

「ごめんって~!」

私は、光に自分の数学ノートを渡した。

「ありがたき、幸せ!」

「はぁ…」

と奈々が言う。

「早見!」

「ん?」

「今日さ、一緒に帰らねえ?部活が、ないんだ」

「金木、分かった。」

と瑠夏と奈々は照れくさそうに話している。

(ああ、青春だ…!)

「あの二人、付き合ってるのバレバレだよね!」

と耳打ちする莉久。

「うんうん!青春だよ~」

と感心している。



でも、それを見て気に食わない人がいたみたいで…。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

「お腹減った~」

「ほんとほんと」

「じ、じにぞ…」

と奈々はお腹を抱えている。

「ちょ、我慢我慢!」

と応援する私。

「もう少しで、私たちの番だから!がんばって!奈々ちゃん!」

そう。
今、私たちがいるのは売店。

つまり、お昼の時間だ。

「なにをたべるんだい?」

「私達だ!」

と私達は顔を見合わせて言った。

「私はカレーパンと焼きそばパン!」

と奈々。

「えっと、エッグハムパン」

と莉久。

「ジャムパン!」

と私。

私達はそれぞれ、お目当てのものを買い込んで、屋上へと足を運んだ。

「奈々ちゃん、ふたつも食べるの?」

と心配したように言う莉久。

「うん?2つ食べないと午後の授業はやり切れないよ!2人こそ、一個で足りるの?」

「「私は、全然」」

と莉久と被った。

「そっか~」

屋上に着き、やっとお昼!

「そういえば、今朝のやつ大変だったね。」

「あ~わはふ~!」

「奈々、口の中飲み込みな。」

「あ、」

ゴックン!

「凛も、大変だったでしょ?大丈夫?何もされてない?特に、中川七海!」

「あ、うん。中川さんは今朝から何もしては来ないよ。多分、もう飽きたと思うし!」

と私は明るく言った。

「そう?なら、良かった!」

「安心したよ~」

と優しそうに奈々と莉久は言ってくれた。

「うん!」

「あ!」

と奈々が言う。

「「ん?」」

「自動販売機でジュース買ってくる!
イチゴミルク!」

「「…ジュース」」

「それなら、私も行こうかな。レモンティー飲みたい…。」

「莉久も?じゃあ、ふたりで行ってきなよ。待っとくから!」

「うん!」

「すぐ、戻るね」

と奈々と莉久は階段をトントンと降りていった。

「ふぃ~」

夏風が気持ちいな…。

「もうすぐ、プールの季節か」

(楽しみだな~)

ガタッ

「あれ?もうもう戻った?ふたりと…え」

「あら?伊野さん」

と目の前にいたのはふたりではなく、中川さんだった。

「何して…」

「悪いの?ここに来ちゃ」

「いや、別に」

「あ、そだ」

とこっちに来ながら中川さんはポケットの中をあさくっている。

「…?」

「これ、あ・げ・る♡」

と渡された…と言うより、頭に投げられた。

「…え」

髪の毛がベットリしていた。

「甘…、いちご?」

「ジャムよ。あんた、ジャムパン買ってたじゃない。わざわざ、渡してやったのに!
何その顔?受ける!!」

と中川さんは笑った。

(何が、おかしいの…?)

目の前がにじむ。

「どうして、こ、こんな…」

「あらら?足りなかった?じゃあ、もうひとつ…」

ま、また…!!

「は!?何…よ、あんた!?」

「うるせー。てめぇ、何してんだよ」

…この声、

「…ひ…かる…?」

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人物紹介

○ 山内 莉久
凛の親友。



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