「あ!」
「ん?どうしたの?」
「パ、パフェ…!」
と凛が指を指した先には行列が。
「パ、パフェ?」
早見が聞くと凛が言った。
「あのパフェね、ドリームパフェっていいんだけど!とっても美味しいって評判なの!食べたいな~」
と両頬に手を当てていう。
「甘い匂いがする…」
と瑠夏。
「瑠夏も甘いもん好きだったよな」
「まあ、好き…」
「えー!食べるの?まだ、早いよ~
遊んでからの方が美味しく感じるんじゃない?」
「確かに!」
「それもそうだな。」
もみんなが納得してそうなった。
「あれ乗りたい!!」
そして、奈々が指を指したのはジェットコースター。
「おお!楽しそうだな!乗りてぇ」
「乗ろう!」
「わ、私、高所恐怖症…」
「俺、乗り物酔い…」
私と金木くんは遠慮した。
そして、奈々と光は走って行った。
「ふたりとも、すごいね。あんなの…」
「ほんとね…どうなってんだろ…」
私たちは、近くにあるベンチで休むことにした。
「ねぇ」
沈黙を破った金木くんが言った。
「ん?」
「光さ、美野さんと別れたんだ。」
「…え?」
あの時、確かにキスしてた…
なのに…
「見たんでしょ?キスシーン」
「え!ま、まぁ」
「あれね、美野さんが強引にしたんだ。
光は、あの時別れ話をしてたんだ」
「え。そんな。」
「自分の気持ちにけじめをつけるために…ね。」
「自分の気持ち…?」
金木くんが口を開こうとしたその時。
「すっごかった~!」
と少し向こうから奈々と光の声がした。
それに、金木くんが気づいて
「この事は内緒ね」
と手に口を当てて言った。
と。
「え…ちょっ!」
私が言おうとした時には奈々と光がいた。
金木くんは
「よくあんなのに乗れたもんだよ!あんなのさ~」
とあははと笑いながら言っていた。
さっきのは何なのよ…
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「あ、アレ乗りたいな~」
凛が指を指した先はお化け屋敷だった。
「確かに!遊園地に来たら、怖いと有名なお化け屋敷には行かないとね~」
と瑠夏も乗り気だ。
「う、嘘でしょ…」
(まぢか…)
と俺と早見は身を引く。
「ふたりで、行ってきなよ。ま、待ってるから!」
と早見が言うと、瑠夏が脅すように言った。
「俺と伊野さんが暗闇にふたりで入っていいの?」
と言った。
「え!それは…ちょっと…」
「じゃあ、二手にわかれよう」
「は?」
「え?」
私と光はチンプンカンプン。
「鈍感だな。俺と奈々で、光と伊野さんって事だよ」
「は!?」
「え!?」
「じゃあ、そう言うことで」
と早見と瑠夏は中に入って行った。
早見は怖いらしく瑠夏の手をギュッと握っているのが分かった。
(ラブラブなヤツら…)
「まあ、行こうよ。」
「俺らもか…」
「怖いの?」
とニヤニヤして聞いてきた。
「な、んなわけねぇだろ!はいろーぜ!」
「はいはい~」
と、とうとう入ってしまった。
横からミイラ出るし、下には人形らしい顔が落ちてるし…
「いぎゃああああ!」
「ちょっ!声大きい!」
「うわあああ!あれ見ろよ!何だよこれ!」
「作り物だって!」
と暗闇で俺が叫ぶ中、凛が落ち着いた様子で言う。
「あんた、怖がりすぎ~。
ホラー系ダメなんだ?」
「うるせー。わりぃかよ。」
「べっつにー。」
「うわあああ!!」
「ぶっはははッ」
と叫ぶ俺。
「うける!」と笑う凛。
俺らが出ると、早見と瑠夏がいた。
早見は半泣きしていた。
「あー!面白かった!」
「っざけんなよ!どこがだよ!」
と口々に言っていると早見が 「いいところ悪いんだけど」と言う。
「「 ん?」」
「ふたりとも、手ー繋いで仲いいね」
とニヤニヤしていた。
その隣で瑠夏も…
俺はいつの間にか、凛の手を握っていたみたいだ。
そしたらなんだか、恥ずかしくなり急いで手を離した。
「悪かった!」
「…べ、別に。
怖がる光、ちょー面白かったな~」
と言ってきた。
「おい!もう言うな!
こんなの、ただの恥だ!」
「ふふ、ごめんごめん」
と凛は笑顔で言った。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
そして、最初に言っていたパフェを食べて最後の観覧車の事。
「の、乗るの…?」
「乗りましょう」
そして奈々が小声で言ってきた。
「最後は、ふたりで乗りたいな…」
と。
そんなこと言われたらもう、断れたくて
「分かった!行こう!」
「ありがと!」
とみんなで観覧車の列に並んだ。
あんまり、人がいなかったためすぐに私達の番がきた。
最初に金木くんと奈々が乗った。
(やっぱ…高ーー…。)
上を見てブルブルさせる。
「おい、大丈夫かよ」
それに気づいた光が心配し、聞いてくる。
「やばい。高すぎ…」
と言っている間にスタッフの人から押され、乗ってしまった。
「ぎぁああああ!!」
「おいおい大丈夫だって。
見ろよ。上から見る景色キレーだぞ?」
「上からとか言わないでぇぇ~!」
「ぶっははは!お化け屋敷と逆になったなー。」
「ほんとそれ。絶対、仕返しでしょ」
「ぶっははは!それもいいかもな?」
と言う。
何だか久しぶりだな…
こんな普通に話したの。
" トクン "
心臓がなる。
怖い思いより、好きの思いが大きくなっていく…。
「あのさ、成瀬とはなんかあんの?」
「…え?」
突然の言葉に驚いた。
光が、真面目な顔になっている。
なんだろう…。
なんか…
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
帰り道。
光が駅まで送ってくれた。
観覧車の中では、特になくそのまま終わった。
金木くんと奈々はいい雰囲気だった。
中で何かあったのかなー?
と少し、ニンマリする。
「…え?」
目の前でビニールの落ちる音がした。
「…ん?だ、大丈夫です…か……え」
「…伊野…さん?」
「中川さん……」
目の前にいたのは、あの時から姿を消した
中川 七海 だったんだ。
──────
いじめっ子の中川七海の登場。
そして、明日はクリスマス…
何かが起こる予感。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。