第25話

デート
39
2018/06/09 11:01
「あ!」

「ん?どうしたの?」

「パ、パフェ…!」

と凛が指を指した先には行列が。

「パ、パフェ?」

早見が聞くと凛が言った。

「あのパフェね、ドリームパフェっていいんだけど!とっても美味しいって評判なの!食べたいな~」

と両頬に手を当てていう。

「甘い匂いがする…」

と瑠夏。

「瑠夏も甘いもん好きだったよな」

「まあ、好き…」

「えー!食べるの?まだ、早いよ~
遊んでからの方が美味しく感じるんじゃない?」

「確かに!」

「それもそうだな。」

もみんなが納得してそうなった。


「あれ乗りたい!!」

そして、奈々が指を指したのはジェットコースター。

「おお!楽しそうだな!乗りてぇ」

「乗ろう!」

「わ、私、高所恐怖症…」

「俺、乗り物酔い…」

私と金木くんは遠慮した。

そして、奈々と光は走って行った。

「ふたりとも、すごいね。あんなの…」

「ほんとね…どうなってんだろ…」

私たちは、近くにあるベンチで休むことにした。

「ねぇ」

沈黙を破った金木くんが言った。

「ん?」

「光さ、美野さんと別れたんだ。」

「…え?」

あの時、確かにキスしてた…

なのに…

「見たんでしょ?キスシーン」

「え!ま、まぁ」

「あれね、美野さんが強引にしたんだ。
光は、あの時別れ話をしてたんだ」

「え。そんな。」

「自分の気持ちにけじめをつけるために…ね。」

「自分の気持ち…?」

金木くんが口を開こうとしたその時。

「すっごかった~!」

と少し向こうから奈々と光の声がした。

それに、金木くんが気づいて

「この事は内緒ね」

と手に口を当てて言った。

と。

「え…ちょっ!」

私が言おうとした時には奈々と光がいた。

金木くんは

「よくあんなのに乗れたもんだよ!あんなのさ~」

とあははと笑いながら言っていた。

さっきのは何なのよ…


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

「あ、アレ乗りたいな~」

凛が指を指した先はお化け屋敷だった。

「確かに!遊園地に来たら、怖いと有名なお化け屋敷には行かないとね~」

と瑠夏も乗り気だ。

「う、嘘でしょ…」

(まぢか…)

と俺と早見は身を引く。

「ふたりで、行ってきなよ。ま、待ってるから!」

と早見が言うと、瑠夏が脅すように言った。

「俺と伊野さんが暗闇にふたりで入っていいの?」

と言った。

「え!それは…ちょっと…」

「じゃあ、二手にわかれよう」

「は?」

「え?」

私と光はチンプンカンプン。

「鈍感だな。俺と奈々で、光と伊野さんって事だよ」

「は!?」

「え!?」

「じゃあ、そう言うことで」

と早見と瑠夏は中に入って行った。

早見は怖いらしく瑠夏の手をギュッと握っているのが分かった。

(ラブラブなヤツら…)

「まあ、行こうよ。」

「俺らもか…」

「怖いの?」

とニヤニヤして聞いてきた。

「な、んなわけねぇだろ!はいろーぜ!」

「はいはい~」

と、とうとう入ってしまった。

横からミイラ出るし、下には人形らしい顔が落ちてるし…

「いぎゃああああ!」

「ちょっ!声大きい!」

「うわあああ!あれ見ろよ!何だよこれ!」

「作り物だって!」

と暗闇で俺が叫ぶ中、凛が落ち着いた様子で言う。

「あんた、怖がりすぎ~。
ホラー系ダメなんだ?」

「うるせー。わりぃかよ。」

「べっつにー。」

「うわあああ!!」

「ぶっはははッ」
と叫ぶ俺。

「うける!」と笑う凛。


俺らが出ると、早見と瑠夏がいた。

早見は半泣きしていた。

「あー!面白かった!」

「っざけんなよ!どこがだよ!」

と口々に言っていると早見が 「いいところ悪いんだけど」と言う。

「「 ん?」」

「ふたりとも、手ー繋いで仲いいね」

とニヤニヤしていた。

その隣で瑠夏も…

俺はいつの間にか、凛の手を握っていたみたいだ。

そしたらなんだか、恥ずかしくなり急いで手を離した。

「悪かった!」

「…べ、別に。
怖がる光、ちょー面白かったな~」

と言ってきた。

「おい!もう言うな!
こんなの、ただの恥だ!」

「ふふ、ごめんごめん」

と凛は笑顔で言った。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

そして、最初に言っていたパフェを食べて最後の観覧車の事。

「の、乗るの…?」

「乗りましょう」

そして奈々が小声で言ってきた。

「最後は、ふたりで乗りたいな…」

と。

そんなこと言われたらもう、断れたくて

「分かった!行こう!」

「ありがと!」

とみんなで観覧車の列に並んだ。

あんまり、人がいなかったためすぐに私達の番がきた。

最初に金木くんと奈々が乗った。

(やっぱ…高ーー…。)

上を見てブルブルさせる。

「おい、大丈夫かよ」

それに気づいた光が心配し、聞いてくる。

「やばい。高すぎ…」

と言っている間にスタッフの人から押され、乗ってしまった。

「ぎぁああああ!!」

「おいおい大丈夫だって。
見ろよ。上から見る景色キレーだぞ?」

「上からとか言わないでぇぇ~!」

「ぶっははは!お化け屋敷と逆になったなー。」

「ほんとそれ。絶対、仕返しでしょ」

「ぶっははは!それもいいかもな?」

と言う。

何だか久しぶりだな…
こんな普通に話したの。

" トクン "

心臓がなる。

怖い思いより、好きの思いが大きくなっていく…。

「あのさ、成瀬とはなんかあんの?」

「…え?」

突然の言葉に驚いた。

光が、真面目な顔になっている。

なんだろう…。
なんか…

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

帰り道。

光が駅まで送ってくれた。

観覧車の中では、特になくそのまま終わった。

金木くんと奈々はいい雰囲気だった。

中で何かあったのかなー?

と少し、ニンマリする。


「…え?」

目の前でビニールの落ちる音がした。

「…ん?だ、大丈夫です…か……え」

「…伊野…さん?」

「中川さん……」

目の前にいたのは、あの時から姿を消した

中川 七海 だったんだ。

──────

いじめっ子の中川七海の登場。

そして、明日はクリスマス…

何かが起こる予感。

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