第28話

失恋 - 莉久&なる -
25
2018/06/29 23:58
ハァハァハァハァ…

私は圭くんを探しに外を歩く。

とても寒くて手がキンキン…。

キョロキョロしながら歩いていると公園を見つけた。

するとそこには、ココアを飲んでいる圭くんがいた。

私は思わず

「け、圭くん!!」

と言ってしまい

「え?」

圭くんが驚いて私を見た。

「り、莉久ちゃん…!?」

下を向いていた圭くんの頬には透明な涙が…

「どうして…泣いてるの…?」


そして、私は圭くんの隣に座った。

「ごめんね、ジュース。」

「大丈夫だよ。あのふたりも、ふたりきりになりたかったかもしれないし…」

「そ…か。」

「それより…」

「コンビニでね、凛ちゃんと大沢くんを見たんだ。」

「え?」

「抱き合ってた…」

「そう…なんだ…」

そして再び沈黙が続いた。

「いつから…凛ちゃんの事が好きなの?」

「…え?」

私はいつの間にか口に出してしまってした。

「あ…いやそ、その…」

「幼稚園の時だよ」

「あ、幼馴染だもんね」

私は下を向きながら話す。

「うん、でも。」

「ん?」

「もうひとり、幼馴染がいたんだよね。」

「もうひとりって?」

「引っ越した時にいたりくちゃん。
…小学校の時に一緒になってさ。」

「ああ、宿泊学習の時に言ってたね?」

「うん。」

私は自分が知っている事を話そうと何となく思ったのだ。

「成瀬く…圭くん…。大事な話があるの。」

圭くんは、目を見開きながらもうなずいた。

「うん、何?」

「私たち、小学生の頃からの知り合いなんだよ…」

私が言うと、圭くんが

「え?それって…」

「私は…私はね、圭くんのもうひとりの幼馴染なんだよ…。」

そして圭くんは、瞳を暗くさせうつむいた。

(なんで、悲しんでるのか…そんなの分かってる…分かってるよ…ッ)

「圭くん、圭くんがあの小学校を辞めた理由は知ってる。でも、圭くんのせいじゃない…。
だから…だから…」

「ごめん…今日は帰るよ。
ごめんね、莉久ちゃん。」

圭くんは私にビニール袋を渡しながら言う。
中には、冷たい三本のジュースが…

「うん…分かった…みんなには、伝えとく…。」

そしてそのまま圭くんは帰ってしまった。

そして涙がこぼれる。

「私は圭くんを恨んでるんじゃない…
好きなんだよ…。

この想いは圭くんには、届かないの…?」

冷たい風に、真っ白な雪が交えている。

それはとても、

綺麗な景色だった…。


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

おまけ : 苗

あの日以来、光くんとは何も話していなかった。

廊下ですれ違ってもお互い目を合わすことができず…。

仕方がないことだとは分かってる。
でも、光くんはひどいよ…?

付き合ってくれたから、光くんも好きでいてくれてるんだって思ってたもん。

でも、それは違うみたいだった。

辛くて
悲しくて

あの日、我慢出来なくなり強引にキスをしてしまった事今では後悔してる。

最低な事をしてしまったって思ってる。

謝りたくても、最初になんて言ったらいいか分かんなくて…ッ

好きなんだ。
今でも好きなんだよ。

でも、その気持ちはもう光くんには届かない。
いくら彼を思っても彼は見向きもしないだろう…。

私の初めての恋を…
初恋が

光くんじゃなかったら私は幸せだったのかな?
光くんじゃなかったら、私は私のままでいられたのかな?


寒そうな外を部屋から眺めていた。

すると、白く儚い雪が降ってきたのだ。

「綺麗…」

雪は恋のようにしんしんと降り積もっているみたいだった。

でも、積もったあとは必ず溶けてなくなる。

私の想いも、そんな風に自然と溶けてゆくのかな…?

この思いを打ち切ることが出来るかな?


──────

なると莉久の知られざる過去とは?

そして、光ついに決断する…

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