第20話

隠すこの想い - 光 -
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2018/06/29 07:06
俺はみんながそれぞれの部屋に戻る時、苗を呼んだ。

大浴場の近くにある、自販機コーナーのところにふたりで行った。

「…光くんが呼んでくれたの久しぶりね。」

と濡れた髪を軽く触りながら言った。

「ああ、ごめんな。急に」

「いいよ、それより話って…?」

苗が少し下を向きながら言った。

「実はさ、凛の事なんだ。」

「伊野…さん?」

苗は凛の名前に驚いていた。

「うん、後俺らのこと…」

「やっと、自分の気持ちに気がついたの…かな?」

苗は少し笑いながら言う。

「…うん。苗の言う通りだよ…」

「光くんは…伊野さんが好き…なんだよね?」

「たぶん…」

「いつから…?」

「結構、前からだと思う。」

「…そっか。もう、おしまいなんだ…」

そう言って苗は後ろの椅子にゆっくりと座った。

「わたし、ほんとはね。」

「ん?」

「気づいてたんだよ。光くんが伊野さんを好きだって…」

「え…」

俺は何も言えなかった。

なのに、苗は俺といてくれたのか?
こんな俺と…ッ

「気付いてくれて良かったとも思ってる。
でもね、少し恨んでるかもしれない。」

「う、恨んで…?」

「そ。わたしは大好きなのに…光くんは別の子が好きなんだもん…それは恨んじゃうよ…」

「苗…ほんとに、ゴメン!」

そして、あの言葉を言おうとした。

「俺と、別れ…」

グイッ

俺は苗に引っ張られ、苗のくちびると俺のくちびるが重なった。

とても…一瞬だった。

「な、苗!?」

「…ごめんね。」

と言い、苗は走り去ってしまった。

(俺の…2度目のキス…)

俺は少し落ち着こうと椅子に座った。

そして、

ガタッ

自販機の横から音がした。

「…誰だ?」

俺が見に行くと、そこには

「り、凛…!?」

「あ…え…と……」

凛は小刻みに震えていた。

俺の気持ち、聞かれたのか…?

「あの、キスシーン見ようとはしてないよ!
た、ただ、通りすがったって言うか…」

「……」

くそっ!
俺は、一番見られたくないところを見られたみたいだった。

凛…、もう。
お前に見れる顔がねーよ。

この思いは、絶対に言わない。

鍵をかけて、永久保存だ。

そして、俺は言った。

「いや~まさか見られてるとはね」

とわざと元気に言った。

俺の心はもう、ガラスのように割れそうだ…

そして、凛は「ごめん!」と言って、走り去ってしまった。

そうだ。
これでいいんだ。

俺と凛には何も無い。

ただの友達だ…

────

次回。

なるは凛の引越しを知り…

光は自分の気持ちを隠し…

凛の恋、どうなる…?

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