第2話

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2020/11/22 10:49
あなたside
伊沢拓司
泊まってっていい?
       ______________________
あなた

えっ

伊沢拓司
ダメ?
 泊まるとはどういうことなのだろうかと深く考えてしまう私。
 私と伊沢さんは付き合ってからまだ1回も夜を共に過ごしたことのない、健全な仲なのだ。
あなた

いい、けど、、

伊沢拓司
ありがと
 ニコッと笑う彼にドキッとしてしまう。なんて考えてる場合じゃなくて。
あなた

お、お風呂に、入らないと

あなた

体、冷えちゃうよ

あなた

あ、先に入って。
私は全然、その、後に入るから。うん。

 しどろもどろになる。ただ彼が、私の家のお風呂に入って、ただ彼が、私の家に泊まっていくだけなのに。
伊沢拓司
いや、ダメだよ。あなたちゃんが風邪ひいたらどうすんの?先に入って。
俺は待ってるから。
あなた

いやいや、先入って。ほんとに。
伊沢さんこそ風邪ひいたら大変。
私は丈夫だから。

伊沢拓司
じゃあ一緒に入る?
あなた

 はああああああああああああああああああああああ
 なんなのこの人。なに笑顔でそんなこと言っちゃってんの?は?一緒に?え?
あなた

え?

伊沢拓司
いやだから、一緒に入ったらって。
あなた

い、いや、いい。いいです。

 顔が熱い。
伊沢拓司
じゃあ、一緒に入るか先に入るか決めて?
あなた

さ、先に入ります。

 蚊の飛ぶようなか細い声で言った私に、彼はニコッとしたけど、その後に少しむくれた。
伊沢拓司
俺は一緒に入りたかったな
はああああああああああああ

 なんなの?
 どれだけ私を赤くさせたら気が済むの?
 伊沢さんの言葉を無視して超特急でお風呂に入った私は、いつまでも熱い体を冷まそうと温度を下げた。なのに一向に冷めそうにない。
 伊沢さん慣れてるな〜。彼の一言でこんなに振り回されている私と違っていろんな経験があるんだろんなあ。私なんかよりずっと美人でずっと可愛い子と付き合ってきたんだろうな。
 胸がズキリと痛む。なんでだろう。
 待たせたらダメなので急いでお風呂を出た。
あなた

お風呂上がりました。

伊沢拓司
伊沢拓司
どうしたもんかな
あなた

あなた

どうしました?

伊沢拓司
いや、なんでもない
 あっ服。
 着替える服がないんだ。それで悩んでるんだ。
 身長170cm位っていってたなあ154cmの私の服は入んないしなあ
 あっそういえば前お兄ちゃんが来た時服置いてったな。お兄ちゃんナイス。
あなた

伊沢さん

あなた

これ着て下さい。

伊沢拓司
えっ?
伊沢拓司
俺あなたちゃんの服入んないよ
あなた

大丈夫です。
メンズなんで。

伊沢拓司
あなた

 あら。不機嫌。なんでだ?
伊沢拓司
あなたちゃん、
なんで男の服持ってんの
あなた

あっ兄のですっ。

伊沢拓司
ふうん。
伊沢拓司
そう。
伊沢拓司
まあいいや
伊沢拓司
じゃあお風呂借りるね。
あなた

はい

 あああああ
 これからどうなるんだろう。

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