あなたside
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泊まるとはどういうことなのだろうかと深く考えてしまう私。
私と伊沢さんは付き合ってからまだ1回も夜を共に過ごしたことのない、健全な仲なのだ。
ニコッと笑う彼にドキッとしてしまう。なんて考えてる場合じゃなくて。
しどろもどろになる。ただ彼が、私の家のお風呂に入って、ただ彼が、私の家に泊まっていくだけなのに。
はああああああああああああああああああああああ
なんなのこの人。なに笑顔でそんなこと言っちゃってんの?は?一緒に?え?
顔が熱い。
蚊の飛ぶようなか細い声で言った私に、彼はニコッとしたけど、その後に少しむくれた。
はああああああああああああ
なんなの?
どれだけ私を赤くさせたら気が済むの?
伊沢さんの言葉を無視して超特急でお風呂に入った私は、いつまでも熱い体を冷まそうと温度を下げた。なのに一向に冷めそうにない。
伊沢さん慣れてるな〜。彼の一言でこんなに振り回されている私と違っていろんな経験があるんだろんなあ。私なんかよりずっと美人でずっと可愛い子と付き合ってきたんだろうな。
胸がズキリと痛む。なんでだろう。
待たせたらダメなので急いでお風呂を出た。
あっ服。
着替える服がないんだ。それで悩んでるんだ。
身長170cm位っていってたなあ154cmの私の服は入んないしなあ
あっそういえば前お兄ちゃんが来た時服置いてったな。お兄ちゃんナイス。
あら。不機嫌。なんでだ?
あああああ
これからどうなるんだろう。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。