すらっとした足、
長い指、爪の先まで綺麗。
その顔立ち。
目が合えば、今もどきりとしてしまう、
そんな私の彼。
今日は眼鏡をかけて、
窓の近くのイスに座り、本を読んでいる
彼は情緒が安定している。
本が読み終わり、
ダイニングに座っている私のところに来て
後ろから抱きついてきた
耳元でささやかれる彼の声
それだけで感じてしまいそう。
私はイスから立ち上がり、
彼と向かい合わせになって
手を広げた
わぁ、背、高いなぁ
マジマジと見ると
やっぱりかっこいい
抱き合えば、
彼は想像以上に体重をかけてきた
背の低い私は、
彼の腕の中におさまる
ずっとこの状態でもいいな
抱き合ったまま、右に左に揺れる
突然止まり、
彼は背を縮めて、私の頭に顔を近づけた
彼の表情は変わらない。
壁と彼に挟まれるとゆう、状況になっただけ。
これってなに?
優しい壁ドン?ㅋ
急に少し大きくなる声。
まだ抱きついたまま、
私もつられて大きくなる。
耳元で言われた
なにかたくらんでいるような声。
彼はニコッと笑った
彼は情緒が安定している。
けど今は、
彼も私も
少々不安定な状態だ。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!