ため息をついて、無言で電話をかける成菜。
どこに電話してるの?とも聞けず、
成菜の『もしもし?』『6人分ご飯追加で』『はーい、よろしく』という会話を静かに聞いていた7人だった。
当たり前にリムジンから降りる私。
お姉ちゃんも、それに続く。
水島ちゃんの一言で、渋々リムジンから降りるすとぷりの6人を後ろに見ながら、私はおじいちゃん家に入った。
水島ちゃんに任せた長沼さんは厨房へ向かっていった。
歩き出す水島ちゃんの後ろを8人でついていく。
ひとつのドアの前まで来た時、水島ちゃんがノックする。
流れ作業のようにソファーに座る私とお姉ちゃん。
L字型の黒いソファーが向かい合うように置かれているので
おじいちゃんの向かい側にすとぷりが座ると思って、2人ともおじいちゃんの隣に座った。
しんみりとした空気の中、6人が順々にソファーに座っていく。
聞かされたすとぷりは、全員が全員目を見開き、信じられない、というようにこちらを見る。
それと同時に、『だから今日は様子が変だったのか』という納得の表情も浮かべていた。
おじいちゃんが言い終わらないうちにそう言って立ち上がったなーくんに、みんなびっくりして視線を投げた。
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!