僕は急いで元の部屋に戻り、物語をパラパラと読み続けたーー
二人共食欲はちゃんとあるし、顔色も良くなってきた。
二人を拾って契約してから早一週間。
だんだんここでの暮らしも慣れてきたみたいで安心した。
そしてそろそろ、アイツが迎えに来る時間帯だろう。
今日は星兎の長との面会があり、ここから長に会うには星兎が持つ力が必要だ。
だから面会の時は必ずここに迎えが来る。
あ、どうせ面会をするなら二人を連れていこう。
それと念のため、莱閼も…。
その瞬間、誰かが屋敷の扉を壊した音が響いた。
全く、今日は本当に刀でも降ってくるんじゃないの?
そして薊と時雨はいつもよりオロオロしている、特に薊。
うわでた、絲の必殺:瞳うるうる作戦。
瞳をうるうるさせる事でいつもの俺様キャラとのギャップを出し、相手をきゅんとさせる作戦。
だけど残念、僕には通用しないんですよ。
なんでか?それは散々コイツにそれをされたからだよ💢
え、契約の何が悪いの一体。
僕は絲の所有物でも何でも無いんだけど?
ーーその後屋敷中に悪魔の王子の悲鳴が聞こえたのは、現場にいた誰しもが予想していた事だろう。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。