忘れていた想いはーこんな時に甦ってきた。
本当に突然だ。
それでも私はー伸太朗を愛してる
磨衣は私の体の事を知っている。
小さい頃から体の面でも面倒を見てもらったし
ウソだ。
私は嘘をついた。
大丈夫なわけない。
私の残された命はあと僅か。
まだ伸太朗と一緒にいたいのに。
こんな時に、磨衣と会うし。
小さい声で呟く磨衣の声を聞き取れなかった
いきなり怒鳴り、磨衣はベンチから立ち上がる
そして、ベンチ越しに壁ドン…いや椅子ドンをする
磨衣はずっと笑ってて引っ越しなんて平気なんだと
ずっと思っていた
でも……こんなんになるなんて思いもしなかったよ…
私はー磨衣の想いを知らなかった。
ずっと…ずっと。
だけど、私には伸太朗が…
何も答えることが出来ず固まっているとー
そう言って逃げようとすると磨衣は育の手を掴んだ
そして、なにかを握らせた。
磨衣はそう言うと、ベンチから立ちリハビリ室へと
戻っていってしまった
磨衣から渡された紙を握りしめ思う
私には…伸太朗がいるんだ。
伸太朗の気持ちを裏切るようなことはしたくない
それに今私は伸太朗が好きなんだから…
ひなさんは、相変わらず笑顔で笑ってくれる
これから…どうしよう…。
そう考えていると、昔の事が甦ってきたー
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。