土砂降りの雨のなか…
歪む地を踏み込み、力一杯に走る。
まだ…この物語を…終わらせるわけにはいかないんだ
育…お前と沢山の物語を創らないといけないんだ
まだまだ…白紙のページが沢山残ってるんだよ!?
そのページをお前との思い出で埋めるまで…
いや埋めても新しく物語を創って死なせねぇ!
そう…物語は…自分たちで創り上げるものだ…
1ページ目から決まっている訳じゃない。
だから…生き方だって、死ぬときもオレたちの
ー自由だろ…!?!?
だから、誰にもオレたちの自由な恋を終わらせる
ことは不可能なんだっ!!
茂みのなかにキラキラと光るモノ
近づいて手に取ってみる
きっと、この先にいる。
育のネックレスが道を指し示すように自然と足が
ある方向へと進んでいく。
そして、自然と足が止まった先は小さな…
壊れかけの家だった。
ギィィィィとドアは軋む音を立てて開く。
室内には、二人の倒れた姿が。
もう一人の男には目もくれず育に駆け寄る
そして自分の羽織っていた薄いパーカーを被せる
苦しそうな笑みを浮かべ、意識を手放した育
横たわる男の胸ぐらを掴み殴ろうとした。
しかし一瞬触れた首もとは熱く、息も荒い。
熱をだし、寝ているようだ。
よく見ると足は赤く腫れ上がっていた。
服も泥だらけで、転んだようだ。
この男の上に被っている服は育のモノだろう
せめて…育だけでも。
病院に少しでも早く連れ戻さないと命が危ない
すると、家の外から声がした。
そして勢いよくドアが開く
松葉杖をついて歩く祐太郎は雨で
びっしょり濡れていた。
しかしーまさかここに来るなんて…。
これも兄弟ってやつなのか…?
伸太朗にやられた傷はまだ残っているようで
自分よりデカイ男を運ぶなんぞ無理がある。
それに育を他の男に、触らせる気は一切無い
祐太郎は湖乃木を背負いながら言う
育を背負いながら言う伸太朗。
育とアイスを食べに行く予定なんかないけど…
病院に帰っ…めを覚ましたら育には近づかないよう
きつくお仕置きだな。
兄弟二人は雨のなか病院へと戻っていった。
翌日…起こる事態があることも知らずにー…
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。