第121話

120時間
301
2018/07/06 04:24
今日も病院内は慌ただしく1日を始める
だがー今日はいつもとは違う慌ただしさがあった
看護師さんたちが必死に出入りするのは204号室ー
ひな
しっかり!!
まだ…まだ耐えられる?
ううぅっ……………!!!
ひな……さ…ん……っ
苦……………しい…
心臓が壊れそうなほどの痛みと激しい頭痛が
育の体を狂わせ始める
看護師
打つ手は……ほぼやりましたが…
全く改善されませんっ!!
先生
そろそろ……限界が近いのか……?
なんとしてもー繋げ、命を!!
それからー約三時間程度が過ぎだろうかー
やっと安定した容態にほっとする看護師たちに
未だに険しい表情を浮かべ続ける先生
ひな
育ちゃん……
心臓の痛み、激しい頭痛に耐えきり疲れきった育は
ベッドの上で寝ている
先生
かなりー悪化した…な……。
残された時間は……推定120時間ー
ひな
せ、先生っ!?
120時間ってー……
5日って事ですか!?
いきなり悪化しすぎ
じゃないですか!?
いくらなんでもー早すぎるよ!
病気はいつ何が起こるかわからない。
いきなりはやく進行するかもしれないし
いきなり進行が遅くなるかもしれない。
先生
私だって…信じたくないんだよ!
育ちゃんを失う……?
そんなの信じられないんだ!
私たちの側にはいつだって
育ちゃんの笑顔があった!
それでー支えられてきた……!!
先生
初めてだよ……どんな患者にも
いつだって恐怖はあった…
だが医者をやっていてこんなにも
誰かを失うかもしれない恐怖に
押し潰されそうになるのはー…
ひな
先生……。
みんな……同じ気持ちです……
育ちゃんを……最後の最後まで
全力で守りましょう……!!
例えー無理だとわかっていてもー
強い眼差しと、曲がらない強い思いでひなは先生を
圧倒させる
先生
私は前から考えていたー
もう、私もこの歳だ……。
定年退職も近いだろ…?
ー育ちゃんを見届けたら
辞めようと思っていたんだ
ひな
えっ……や、嫌です!!
先生がいなくなったら……
だれが医院長を勤めるんですか!?
私、先生が居なくなるなんて嫌!
突然過ぎるよ……
先生は前々から考えていたことかもしれないけどー
先生
聞いてほしい……
私がいなくなったらこの病院は
中川 ひな……お前さんが医院長
になって…たくさんの命を救いなさい
ひな
私が……医院長……?
無理ですよ…先生みたいに出来ない…
だから……いなくならないで……
先生
泣くなって……未来の医院長
君は心の優しい人だ。
きっとーたくさんの人を救える
看護師から医院長は職が一気に
変わるけどな…?
参考程度に考えて欲しいよ
育ちゃんよろしくな♪
先生はそう言うと病室から出ていってしまったー
私は看護師になりたくてなったー
ーなんで?
それは……たくさんの命を救いたかった……
病気で悩む母を助けたかった…
でも病院はー母を助けてはくれなかったー……
だから自分が看護師になって母の敵のつもりー
と言うわけではないがそんな病院が許せなかった
から看護師になってたくさん救おうと思ったー
ひな
私なんかに…勤まるのかな……?
医院長だよ…育ちゃん。
看護師とは全く違う職なんだよ…
でもーたくさんの命救えるかな私に
寝ている育に話しかける、ひなは呟いたー
でも今はー育ちゃんを守ることを優先に考えなきゃ
まだ、看護師だもの。

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