第37話

好きで好きで、会いに来た
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2018/04/18 11:51
スッと、いきなり目の前にプリンが。
顔をあげるとー
っ!?
し、伸太朗っ!?
伸太朗
あははっ!
ビックリしたか?
そう言って笑顔を浮かべる。
ー久しぶりに見た…その笑顔を。
すごく安心する
うん、ビックリした。
ーあれ?伸太朗、一人なの?
美和ちゃんや九条くんのすがたが見えない
伸太朗
そう、オレ一人だよ
我慢できなかったんだよな
育に会えねーの
ごめんね…。
でも…まだ行けない。
伸太朗
どうしてだ…?
いつもならもっとはやく退院
できるのに。
今回長くねーか?
そうだよ。
伸太朗の言うとおりだよ。
今回は長すぎる。
伸太朗
それにーなんで車椅子が…
伸太朗…。
聞いてくれる…?
伸太朗には隠さず全てを話そう。
今の関係が壊れてしまう可能性があるのは怖い…
だけど…
私は決めたんだ。
生きてーみんなと過ごすって。
私ね…この前死にそうになったの。
薬を投薬して命を取り止めたんだ。
だけどね、身体の力は少しずつ
無くなっていっちゃうし
今は麻痺の症状で脚も動かない。
それに、発熱の症状もあって
ダルいし体調が優れないの。
伸太朗
ウソだろ…。
ーでも!育の病気に麻痺や発熱の
症状なんて出ないだろ!?
なんでーなんで…
こんな私と無理して一緒に
いなくていいんだよ?
お見舞いだって無理して
来なくていいんだよ…?
涙がでそうだ。
ー伸太朗を突き放しているようで。
せっかくいやな顔をしないで来てくれているのに
伸太朗
あのな、育ー。
お前絶対勘違いしてる。
伸太朗
オレは、オレの意思でここに
来てんだよ。
オレはーお前が心配で…
好きで好きで、会えなくてっ
もうーどうかなりそうなんだよ!
育がどう思おうとオレは一生お前を
愛し続ける。
っー!!!
こんな私でも愛してくれる人がいるー
私が前を向いてー立ち向かわなきゃいけないのに
ごめん…ごめんなさいっ…
私…怖かった…
こんな身体で…他の女の子と違くて
今の関係が…壊されちゃうんじゃ
ないかって…。
私も…あなたのことが大好き
一生離さないー!!
伸太朗
んなこと言うなよ…。
久しぶりすぎて…おかしくなるだろ…
そう言って、二人は頬を赤く染めたー。
そして、久しぶりにそっと優しいキスを交わした
ねぇ、伸太朗
冷蔵庫にあるプリン取って?
自分じゃ届かない。
伸太朗
おう、全部か?
うん、全部ー!
伸太朗
おい、かなりの量あるぞ?
まぁオレらが買ってきたやつだけどさ
ドサッとベッドの側の机に置く。
私、プリン大好きだから
全部食べるのっ♪
伸太朗
体調崩すなよ?
ー今日は金曜か…。
帰りたくねぇな…
ボソッと伸太朗が呟いた。
すでに日は沈んでいる
どうして?
もう、暗くなっちゃうよ?
帰らなくて大丈夫なの?
プリンを頬張りながら言う。
伸太朗
ここに今日泊まってく。
明日学校休みだし。
いいだろ?
ーお前とまだ一緒にいたいんだよ
ええっ!?
そんな…聞いてみないとダメだよぉ
ひなさんに聞いてみよう。
ー伸太朗と少しでも長くいたいから。

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