第140話

見慣れた風景
249
2018/07/23 20:45
少し歩くと、何回か見た風景にたどり着く。
そして、四人は1つの前に立った
伸太朗
育……ただいま
元気にしてたか?
この前にあげたハナミズキは萎れている。
そしてー伸太朗のネックレスは雨風に吹かれ
錆が目立ち始めていた
美和
育……初めて会わせるよね?
ほら、手紙に書いてあった通り
私と流の子供、繋愛だよ。
見たいって……言ってたよね?
美和はそっと繋愛を前にだした
繋愛
ねぇ、ママぁ
いくお姉ちゃんはどこにいるのー?
何でみんな石とお話してるのー?
……繋愛
流は冷静な声で繋愛に話しかけた
この石の中に育お姉ちゃんは
眠ってるんだよ。
育お姉ちゃんは繋愛のこと
お空から見てるんだよ
繋愛
いくお姉ちゃん……
死んじゃったの?
繋愛の一言で美和も伸太朗も流もびっくりする
美和
えぇ……でも育お姉ちゃんは
生きているわ。
この世界を束ねる空の上で。
伸太朗
それにーオレの体は
育と一心同体そのものだ。
繋愛が大きくなったらまた
詳しく話してあげような
繋愛
うんっ繋愛早く大きくなって
大人になるー!
繋愛はいつも笑顔だ。
そこはとても育に似ているー。
繋愛といると育といた日々を思い出すー。
その時ー
伸太朗の携帯の着信音が鳴り響いた
伸太朗
ん……………………?
はい、青宮です……
あ、祐菜(ゆうな)ちゃん
どうしたの?
うん……まじか今すぐ行くね
伸太朗は険しい顔をし電話を切った
伸太朗
ごめん、意識のない患者さんが
運ばれてきたみたいで人手が
足りないらしいから急ぎで
お願いって……
そうか、なら早く行け。
折角……自分の夢が叶ったんだろ?
しかもお前は医院長なんだろ
しっかり命、助けないとな!
オレらはバスとかで帰るから
気にすんな!
流は笑顔で伸太朗を見送ると美和と繋愛も
笑顔で手を振ってくれる
それをみてー羨ましい……と思ってしまった。
もしも育が生きていたらオレにもこんな家族がー
なんて、思ってしまった。
オレが掴めなかった幸せを流は掴んだ。
少し恨んだりしたこともあったけどー
みんなが幸せでいることが育の願いだ。
オレが、首を突っ込めることではない。
ー育、オレはもう一度
会いたいよ。
話したいよ。
笑顔が見たいよ。
伸太朗って呼んでくれよ。
好きだよって顔を真っ赤にして言ってくれよ。


お前の全てがーまだ鮮明に脳裏に……残っているんだ

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