はぁっ……はぁっ……と息を切らしたどり着いた受付
そしてまたー走る。
ひたすら走り、目指す先はただひとつー。
…………………………………………
もしもー本当にアイツなら……迷わずアイツの胸に
飛び込むだろう。
今度こそー絶対に……離さないから。
走るたびにバサバサと音をたてて風に靡く白衣
そしてーバッと現れた海と砂浜
辺りを見回し、突然として歩みを止める
長い髪の毛ー。
あの……後ろ姿ー。
白い肌と細い腕や足
そしてー彼女の手にはクマのキーホルダーが
しっかりと握られていた。
やはりオレたちを導くのは…クマのキーホルダーか
全てがーあの頃の姿と重なるー。
思わず泣きそうになるのを我慢する。
良い歳した男がいきなり会うにて泣き出すのを
みたら誰だって引くだろう
そしてまた彼女も泣いていた
伸太朗は涙を吹きながらニコッと微笑んだ
そして、育は続けた
育ーいや、卯澄さんは笑った。
その笑顔は、あの美澄 育と表裏一体で。
そうやってまたーオレの心を動かす
育ー、お前は約束通り……生まれ変わって
会いに来てくれたのか
何年……待っただろうか……?
この時を。
この瞬間を。
またーお前と会えるときを。
またーお前と話せるときを。
またーお前と笑いあうことを。
この時、瞬間だけを待ち望んでいた
ただ、それだけを待って生きていた。
たったー1つの『約束』……
再びあうことの約束を守るためにー。
もうーお前の手を離しはしない。
死ぬまでー守りきる。
だから医者になった……。
今度こそ……君と最後の1秒まで『愛し続ける』よ
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。