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第144話

君と最後の1秒まで
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2018/07/27 09:06
はぁっ……はぁっ……と息を切らしたどり着いた受付
伸太朗
なっ、なぁっ!?
裕菜っ、女の人は!?
祐菜
えぇっと…この病院から
一番近い『海』で待ってる…と
女の人、体調悪そうだったので
よくわからないですけど、早めに
お願いしますね!
伸太朗
あぁっ!!
ちょっと行ってくる!
そしてまたー走る。
ひたすら走り、目指す先はただひとつー。

…………………………………………
もしもー本当にアイツなら……迷わずアイツの胸に
飛び込むだろう。
今度こそー絶対に……離さないから。
走るたびにバサバサと音をたてて風に靡く白衣
そしてーバッと現れた海と砂浜
伸太朗
っ……はぁっはぁっ……
どこだ……どこにいるんだ……?
辺りを見回し、突然として歩みを止める
長い髪の毛ー。 
あの……後ろ姿ー。
白い肌と細い腕や足



そしてー彼女の手にはクマのキーホルダーが
しっかりと握られていた。

やはりオレたちを導くのは…クマのキーホルダーか
全てがーあの頃の姿と重なるー。
伸太朗
お前はっ……。
思わず泣きそうになるのを我慢する。
良い歳した男がいきなり会うにて泣き出すのを
みたら誰だって引くだろう
???
ごめん……なさい…
いきなり……呼び出して……
なんか……体調悪くて病院いったら…
あなたの……名前、見つけて……
なぜか気づいたら……受付に……。
そしてまた彼女も泣いていた
伸太朗
お前ー名前は……?
伸太朗は涙を吹きながらニコッと微笑んだ
私……はっ……
卯澄 育(うすみ いく)です…
そして、育は続けた
あなたの名前を見るたびに……
あなたの姿をみるたびにー。
覚えもしない、記憶がっ……
頭のなかに……流れ込んでくるの…
何でだろうね……?
あなたには会ったこともないのに
すごく……懐かしい感じがするの
育ーいや、卯澄さんは笑った。
その笑顔は、あの美澄 育と表裏一体で。



そうやってまたーオレの心を動かす






育ー、お前は約束通り……生まれ変わって
会いに来てくれたのか
何年……待っただろうか……?
この時を。
この瞬間を。
またーお前と会えるときを。
またーお前と話せるときを。
またーお前と笑いあうことを。



この時、瞬間だけを待ち望んでいた
ただ、それだけを待って生きていた。







たったー1つの『約束』……
再びあうことの約束を守るためにー。


もうーお前の手を離しはしない。
死ぬまでー守りきる。
だから医者になった……。
今度こそ……君と最後の1秒まで『愛し続ける』よ

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