入学式は無事に終了した。
はぁぁ、校長先生の話ってこんなに長いんだね…。
だって初めて入学式を全部出れたんだもん!
なんだか、嬉しいな…。
この調子で病気が治っちゃったりして?
…なーんてね…。あるわけないよね…。
育は満面の笑みを浮かべる。
そう。
私の病気のことを知らせてあるのは親友の
美和ちゃんだけ。
もしものことを考えて美和ちゃんは側に
いてもらった方が私的にも安心だからだ。
ということで、私と美和ちゃんがクラスが
離れることは一切ないと言うこと。
でも、病気のお陰で美和ちゃんと
一緒にいれるのは嬉しい
誰がクラスにいるんだろーなぁ…
そう言えば、朝ぶつかった子、ここの学校
だって美和ちゃん言ってたっけな…
同じクラスだといいなぁー…
って、何考えてんの私!?
ブンブンっと頭を振っていると美和ちゃんが言う
ニヤニヤとした表情を浮かべる美和ちゃん
うーん、と頭を悩ます育
美和ちゃんは、我が子の恋が嬉しいとばかりに
そそくさと、クラスへ向かいに行ってしまった
走りだそうとしたときだった
ークラッ…。
洞不全症候群の病状の1つである目眩。
足元がフラフラして、まっすぐ進めない…
ついには、床に座り込む。
心臓も少しずつ痛みを増してきた…。
どうしよう…
少しずつ薄れていく意識のなか、薬を手にした
美和ちゃんが、走ってくるのが見えた。
取りに行くため…戻ってくれたのか…
美和が、育の元へたどり着いたとき
育はすでに意識を失っていた
…………
ここはどこ?
真っ白い、ただ白に染められた空間。
だけどあそことは違ったモノを感じる。
これはー夢…?
私はー死んじゃったの…?
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!