扉を開けた………。
ガランとした部屋に暖かい風が吹く
だが、幸いなことにここは二階。
しかし育は歩けない。
だとすると相手は育を担ぐかおぶる。
相手は…誰なのか
それを調べたらソイツが行きそうな所を汲まなく
探すのみ。
逆に育の余命を削るだけだ。
それだけは避けたい。
育はー…渡さねぇ!!!!!!!
…………………………
磨衣は歩けない育を片手で背負いながら走る
追い討ちをかけるように冷たい雨が降り注ぐ
いつの間にか、場所は山の中に入っている
冷たい雨が全身を濡らす。
いきなり、磨衣の姿勢が低くなりびしょ濡れの道に
身を投げ出される。
雨のせいで道が滑りやすくなっている
だから磨衣は滑って転んだようだ
磨衣が指差したのは壊れかけの家。
育は気づいた。
雨に、濡れ服が透けていた。
こんな姿見られたくない…!
伸太朗にも見られたことないのに…
磨衣は壁に寄りかかる育に向かって壁ドンをした
磨衣はそう告げるとバタンッと床に倒れてしまった
歩けない私じゃ磨衣を病院に連れ戻すことは不可能
携帯も…病院に置いてきちゃったから人も
呼べないし…どうすればいいの…?
磨衣は額から汗をかき、頬も赤い。
相当熱は高そうだ。
呼吸も荒くなっている
育は、自分の服を脱ぎ磨衣に被せる。
患者専用の服を来ていたためキャミソール姿に
なってしまうが、磨衣のためだ。
そう言うと、磨衣は眠りに着いた。
眠らない方が逆におかしいもの。
こんだけ熱だして眠くならないはずはないからだ
ーウソでしょ…?
こ、こんな時に…発作…!?
最近安定していたから平気かと思っていたけど…
誰もいないし、薬もない…。
胸が…苦しい…痛い…!!!!!
頭が割れそう…!
こんな時に…最悪だね…
伸太朗…助け…て…。
私と…磨衣を…助け……て…せめて…磨衣…だけでも…
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!