第47話

もう1つの真実
321
2018/04/26 10:14
結果はもうわかりきったことだ。
今さら構える必要なんてないのに。
「良くなっています」とか
「進行が遅くなった」とか
そんな言葉を望んでいる私がいる。
ーそんなこと、叶わないってわかってるのに。
なぜ人は叶わないとわかっていても願うのー?
ひなさんに車椅子を押してもらって診察室に到着
先生
よう、育ちゃん
体調はどうだい?
全然元気です!
いつも以上に元気過ぎます!
ーきっと、彼がいるだけで心が
軽くなってるんです。
私の心の支えです
泊まってくれた。
この病院で。
伸太朗がいなくなってしまったら
どうなってしまうのだろう。
私は、私じゃなくなってしまうかもしれない
ひな
ふふふっ、すごく仲が良さそうで
何よりだわ♪
手とか繋いで寝ていたくらいだもの
お幸せにね♪
な、なんで知ってるんですっ!?
ー言った記憶はないと思うけど
ひな
あの育ちゃんの相談よ。
例え話だったかしら?
ー育ちゃんにピッタリ重なるのよ
あんな………あんな例え話しなきゃよかった…
先生
はいはい、恋愛話はそこで終わり
先生がパンッと手を叩く。
先生
ー今から話すことは育ちゃんに
とって未来を左右するかもしれない
ーはい…。
先生
まず、心臓の方の病気だ。
自然と背筋が伸びる。
ー怖い………。
先生
進行は、この前よりかは遅い
だが、悪いことには変わりない
ですよね………
良くないことぐらいわかってる。
先生
そして、もう1つだ。
ーえっ?
もう1つってなにー?
何か悪いことでもあるの…?
ひな
寝てる間によくあった
症状あるでしょ?
麻痺、痙攣、発熱…。
あることがわかったのよ
先生
てんかん症候群。
痙攣、麻痺を起こすモノだ
発熱は体がその症状を拒否
した時に現れるモノだ。
ーてんかん症候群…。
ひな
調べると、育ちゃんは3歳頃から
てんかん症候群を患っていたみたい
ー知ってた…?
知らない…
そんなの知らないっ!
ー私は…心臓の病気だけだよ!
知らない。
信じたくない。
ーじゃあお母さんはこの歳になるまで
私に隠していたの…?
先生
今になって姿を現すとは…
いの歳まで平気だったのは
奇跡だよ
………お母さん…
私に隠していたの…?
なんで………?
ひな
育ちゃん、てんかん症候群は
死ぬことはないから。
気を付けるべきなのは心臓の方
先生
そうだ。心臓の方は命を食らう
てんかん症候群なんて
優しいもんだよ。
今注意を払わなきゃいけないのは
洞不全症候群。
一緒に頑張ろう、育ちゃん
…はい…。
お母さんの事がショック過ぎて…。
お母さんに問い詰めてみるしかないかな…
でも、私は頑張るんだ
伸太朗と「海」に行く約束をしたんだからー

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