第93話

お父さんのヒミツ
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2018/06/09 02:41
先生
育ちゃんの体はかなり
危険な状態ですね
病気に体を蝕まれている
それにー進行もやはり早い。
一番聞きたくなかったー。
こんなところに来なきゃよかった。
そうすれば育は間だ生きるんだ、生きているんだ
って…現実をみなくても…
でもー育を見捨てることなんてできない…
少しでも長く生きて欲しい…
もう後悔なんてしたくない
お父さんの時のようにー……………
お母さん
そう……ですか……
ひな
お父様……の時のように
ならなくてよかったですね…
ひなさんがそう呟く
お母さん
病院に行くの…一歩…いや何歩も
遅かったー。
もしもっと早くから気づいていればー
お父さんはもっと長生きできた…
お父さんは…家族に自分の病気を隠し過ごしていた
何一つ…言わずに。
病気が酷いことも…誰一人家族内では
知る人はいなかった。
そうーお父さんが倒れるまでは……………
先生
お父さんの時は…我々も
すまなかったって思ってるよ
しかし、お父さんと育ちゃんは
違うからね?
重ねてはいけない
お母さん
そう……ですよね
育は…違うお父さんとは…
そして、スゥッと先生が息を吸い込んだ
先生
それでね、一番大切な話だ。
お母さん
はい…なんでしょうか…
先生
あと、もって2、3カ月ってところ…
我々も全力を尽くして育ちゃんの
ために頑張ります
やっぱり…。
予想していた通り…聞かなきゃよかったー
お母さん
そんな……
ひな
私も精一杯フォロー致します
大切な…育ちゃんのためにも…
………………………………………
本当に……夢みたい…
自分の部屋でお気に入りのぬいぐるみを
抱き締めながら微笑む
お父さんと一緒に過ごすなんてもう一生無いかと
思っていた
でもー私は…何か…
大切なモノを…忘れてる…?
そうーここが夢の中なら…現実は…?
私の大切な人も思い出せない…
ただ、一つ確かにわかるもの…それはー
私を暗闇の中から救いだしてくれた唯一の
太陽的存在であること。
すごく暖かくて……私の…私の…?
思い出せない…
なんだったっけ…
するとー部屋のドアをノックする音が。
お父さん
育、入ってもいいかい?
お父さんっー!
いいよ、入って♪
こんな風に“お父さん”って現実では
呼べないんだよね…
どうしたの??
お父さん
あぁ…育に言っておこうと
思ってな…
誰にもヒミツだぞ?
家族内育はにしか知らせない
つもりだからな
なんのー…話だろ…
お父さん
お父さんは、病気なんだよ。
洞不全症候群っていう心臓の
病気なんだ。
うん……………
あれ……………?
お母さんが言うには、お父さんは家族内の誰にも
知らせなくて、お父さんが倒れたときに発覚した
って言ってたけどー……………
なんで……私には教えてくれるの?
お父さん
そしてー、育お前にお父さんの
遺伝が移ってしまったのか育にも
その病気があるんだ。
今は、症状が軽いけどいつかー
自分を苦しめる。
そっかーお父さんにとっては私は『2歳』の子供
として瞳に映っている。
私は、タイムスリップしてきただけ。
だからー私は記憶に残っていなかったんだ
お父さんが病気だって言うことを私に告げたことー
過去はー少し変わりつつある。
あるべき姿を求めてー
まだ……ここにいよう。
ここにいれば何か……わかるかもしれない
現実のこと……思い出せるかもしれないー

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