海に行った次の日、育は磨衣の家へ向かった
しかし、磨衣の家の前には大きなトラックがあった
そして何やら忙しそうに色んな人が出入りしている
そして、その中から磨衣の姿も見えた
磨衣は育の姿を見るなり顔を下に下げた
育は、磨衣の手を握っていう。
すると磨衣は育の手を握り返ししゃがんだ
そう言って、磨衣が連れてきたのは
美和、という女の子であった。
磨衣はそう言うと、立ち上がり大きなトラックに
乗り込んだ
磨衣はトラックの窓を開け顔を出した。
ーそして、育に向かって微笑んだ
磨衣の呟いた最後の言葉はトラックの発進音と共に
消し去られ、育と美和の元には届かなかった
美和ちゃんは育に告げると歩っていってしまった
そう、このときから私と美和ちゃんは親友だった
親友になれたのも磨衣のお陰だ
育は、磨衣はすぐに帰ってくるものだと思っていた
2年生にはまだ理解できないことだったが
3年生に上がるときにはもう、理解していた
磨衣はもう、帰ってこないーと。
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鮮明に思い出した、過去のこと。
今まで………どうしてこんなにもキレイに
忘れていたのだろう…?
どうして、今になって思い出したのか………
そして、ひなさんはこう言った
な、なんてことを…
私に会いたいなんてそんなん…
ひなさんは、病室に着くとニコッとして
病室を後にした
育は磨衣から渡された紙を手の内で握る
そしてークシャっとなった紙を開いた。
早く、磨衣の病室に行って伝えよう。
迷う必要なんて無かったのに何悩んでいたのだろう
きっぱり、はっきりと断ろう。
ーそれが私の答えだ
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!