第87話

初めての電話
316
2018/06/03 11:56
LINEを見てみるとー
え、伸太朗!?
私持ってたっけな……
『育!大丈夫か?』
心配するメッセージが送られてきた
これだけで、心は晴れたように軽くなる
『うん、大丈夫だよ』
そう送ると直ぐに返事が返ってくる
『じゃあさ、明後日海行かねぇ?
約束しただろ、退院したら行こうって』
海っ……!!!
行きたい、行きたい!!
はしゃいでいると、間違えて通話ボタンを
押してしまった
う、うそっ!?
間違えて押しちゃったよ!
は、早く切らなきゃ…
そう思い切るボタンを押そうとしたー
伸太朗
い、育……?
伸太朗の声が電話越しに聞こえる
切らないで、出てみようかー
も、もしもし…伸太朗?
ごめん、間違えちゃった
伸太朗
あぁ、いいよ♪
こうして、育と電話できてるんだし
オレは嬉しいな
私も…嬉しい…よ
電話越しだと伸太朗との距離がすごく近く感じて
尚更ドキドキする
伸太朗
なぁ…今度泊まりに来てくれよ
母さんも、育に会いたいって
言ってるしさ
なんでもやるっていったし…
わかった、いいよ
私が生きてる間しかそう言うこと
出来ないもんね…
死んでしまったら、もう何もできない。
それなら生きているうちにトコトン笑おう
伸太朗
んなこと言うなよ!!
ぜってー死なせるもんかよ!
オレが…許さねぇからな…!!
その伸太朗の強い思いー。
嬉しいけど…
現実はそう簡単には行かないもんね…
伸太朗
あぁ…ごめん…
ううん、私伸太朗といられるだけで
幸せだし病気なんて忘れちゃうもん!
伸太朗は凄い。
あの、真っ白いただ白に染められた空間にいた時期
いや、伸太朗と会う前ー私は生きようとも
思わなかった
だけど、伸太朗と会って私は変われた。
生きるって大切な意味を知れた
ありがとぅ、伸太朗。
なんとなく、口から出てしまった言葉。
伸太朗
な、なんだよいきなり…
て、照れくさいな…。
好きだよ♪
海…楽しみにしてるね!
伸太朗
おう!
オレも色々楽しみだ♪
伸太朗は、笑う。
電話越しに聞こえる笑い声はいつもと違く感じる
ま、まさか…
変なこと考えてないよね?
わ、私の水着姿とかっ…
き、期待しないでよねっ!?
伸太朗
んなことっ……ねぇよ!!!
じゃ、じゃあ切るぞ!!!
なんか恥ずかしくなってきた!
そう言うこと伸太朗は一瞬で電話を切った
み、水着……どうしよ…
可愛いの持ってない…
せめて、水着だけでも可愛いのを…
育は、そう思いあることを思い付いたー

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