リハビリはキライじゃない。
だって頑張れば伸太朗と海に行けるんだもん
それに、頑張ったからこそ少しずつ進歩もある
自分を自分で褒める。
コレもいいことだってお母さんから聞いた。
ーでも最近お母さん病院に来ない…なぁ…
ん…?どうしたんだろ…?
由宇南(ゆうな)ちゃん?
聞いたことない名前だなぁ…
ひなさんは大声をだして呼ぶが由宇南ちゃんという
女の子は戻ってこない
それって…。
私とー同じ病気の子…。
私も前までは死ぬなら意味ないって
死ぬことを全面的に受け止めてやる気もなかった
死ぬことを理由にして。
でも伸太朗と会って…色々な人と会って。
「生きたい」そう思えたんだよね
きっと、話せばわかるはず。
同じ苦しみを味わっているんだから
育は、由宇南ちゃんのいるテラスへと向かった
由宇南ちゃんと思われる女の子は想像以上に小さい
いや、幼い女の子だった
小学2年生くらいだろうか?
何者かわからない人に話しかけられて
ぶっきらぼうに答える
彼女はそう答えてくれるが目は会わせてくれない
光さえも映し出さないその瞳は悲しみと寂しさで
溢れているようだった
それを聞いた由宇南はビックリした目で見る
由宇南は目を輝かせて言う。
よほど自分と同じ考え方の人が
いることが嬉しいのだろう
伸太朗のお陰で私の人生は180度変わった
すると由宇南ちゃんは育の手を握った。
やっぱり、親たちはいつの間にか自分の子の面倒を
見なくなる…。
由宇南ちゃんの所もそうだ。
私のお母さんも…いつの間にか来なくなった…
病気を抱えている子達はみんなネガティブだ
それはきっと病気のせいだけじゃない。
家族も絡んでいるんだー…。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!