第61話

同じ辛さを抱えるモノたち
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2018/05/07 08:27
リハビリはキライじゃない。
だって頑張れば伸太朗と海に行けるんだもん
それに、頑張ったからこそ少しずつ進歩もある
ふぅ…今日は転んだ回数が
いつもより少ない!
私、進歩してるっ!
自分を自分で褒める。
コレもいいことだってお母さんから聞いた。
ーでも最近お母さん病院に来ない…なぁ…
ひな
ちょっ!由宇南ちゃん!
待って!
ん…?どうしたんだろ…?
由宇南(ゆうな)ちゃん?
聞いたことない名前だなぁ…
ひなさんは大声をだして呼ぶが由宇南ちゃんという
女の子は戻ってこない
ひなさん、どうかしたんですか?
ひな
え、あぁ…。
由宇南ちゃんがリハビリ
してくれなくて…。
「どうせ死ぬなら意味ない」って
そう言って毎回この街が見渡せる
テラスで一人景色を見ているのよ
それって…。
なんだか、前の私とそっくり。
なんかわかり会えるかもしれないです
ひな
そうね、育ちゃんと同じ病気を
持つ女の子だから育ちゃんの話
なら聞いてくれるかもしれないわね
私とー同じ病気の子…。
私も前までは死ぬなら意味ないって
死ぬことを全面的に受け止めてやる気もなかった
死ぬことを理由にして。
でも伸太朗と会って…色々な人と会って。
「生きたい」そう思えたんだよね
ひなさん、リハビリ一回
抜けていいですか?
由宇南ちゃんとお話したいんです
きっと、話せばわかるはず。
同じ苦しみを味わっているんだから
ひな
そうね、そうしてくれると
こっちもありがたいわ
はい!
では、いってきますね♪
育は、由宇南ちゃんのいるテラスへと向かった
由宇南…ちゃんかな?
由宇南ちゃんと思われる女の子は想像以上に小さい
いや、幼い女の子だった
小学2年生くらいだろうか?
由宇南
誰?由宇南に何か用ですか
何者かわからない人に話しかけられて
ぶっきらぼうに答える
私は美澄 育っていうの。
由宇南
あっそ…。
由宇南ちゃんの名字とかも
私、知りたいなぁ
由宇南
相川…。
由宇南は、相川 由宇南。
彼女はそう答えてくれるが目は会わせてくれない
ねぇねぇ、どうして
由宇南ちゃんはリハビリ
やらないの?
由宇南
リハビリ…?
そんなのやっても未来は変わらない
そうでしょ?
由宇南はいつか死ぬんだから。
頑張っても意味ないよ
光さえも映し出さないその瞳は悲しみと寂しさで
溢れているようだった
あのね、由宇南ちゃん。
私も由宇南ちゃんと同じ病気なの
それを聞いた由宇南はビックリした目で見る
由宇南
お姉ちゃんはどうして
リハビリなんて頑張るの?
由宇南と同じ病気なら
いつか死ぬんでしょ?
由宇南、お姉ちゃんの考えてること
理解できないよ
そうだよね、私も少し前までは
リハビリなんてやったって意味ないし
手術なんてやって何が変わるの?
ってそう思って全部を捨ててきた
由宇南
お姉ちゃんは由宇南と同じだね!
由宇南は目を輝かせて言う。
よほど自分と同じ考え方の人が
いることが嬉しいのだろう
でもね、そんな私を変えてくれた
人がいるの。
こんな私を、愛してくれた。
大切に思ってくれたの。
それでリハビリ頑張ろうって
そう思えたの。
伸太朗のお陰で私の人生は180度変わった
生きたいって初めて思えたの。
でもね、遅かった。
手術はできないほど進行して
あとは死ぬのを待つだけ…。
何もかも手遅れだった。
私は…後悔だらけだよ
でもね、由宇南ちゃんは後悔
して欲しくないな
由宇南
お姉ちゃんは…病気…
そんなに悪いの?
すると由宇南ちゃんは育の手を握った。
そうだね…悪いよ。
死んじゃうってわかってても
大切な人ともっと過ごしたいなって
その気持ちが私を動かしてるの
…由宇南ちゃんの大切な人は?
由宇南
お兄ちゃん…。
由宇南の病気がわかってから
毎日来てくれるの。
お母さんとかお父さんは来てくれない
だけどお兄ちゃんは毎日来てくれるの
やっぱり、親たちはいつの間にか自分の子の面倒を
見なくなる…。
由宇南ちゃんの所もそうだ。
私のお母さんも…いつの間にか来なくなった…
じゃあさ、お兄ちゃんのために
少しでも長く生きようよ。
私も一緒に頑張るから
由宇南
うんっ!!!
病気を抱えている子達はみんなネガティブだ
それはきっと病気のせいだけじゃない。
家族も絡んでいるんだー…。

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