真っ白い空間に、色の無い部屋ー
また……ここに戻ってきた
みんなでワイワイ楽しくやって来た日々が蘇る度に
ひどく胸が締め付けられる
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育のいなくなった学校は色がない。
本当に詰まらなくなってしまったー
なにも知らない宇良羅は呟いた
伸太朗はそれだけ言い残し教室から立ち去る
徐々に心配になってくる宇良羅は美和に尋ねる
………………………………………
保健室のベッドに寝そべる伸太朗
こんなんで医者になれる訳がねぇよな……………
医者はすごいよな、本当に。
人が死んでもまったく乗じない。
今でさえ、育は死んでもいないのにこんな状態
だなんて、医者になんてなれない
来る回数が増えたため、保健室の先生には
よく知られている
保健室の先生はズラッと全てを話した
あ、アイツ……!!!
無駄なこと言いやがって……覚えてろよ…?
結構、クールで無口な方な流がそんなことをー?
前だけをみてー……進む……
その先生の笑顔や流の思いー……回りの人に救われて
ばかりだな……オレは……
だからこそー思ったんだ
医者になって支えてくれた人、助けてくれた人に
恩返しをしようーと
だからその一歩として、医者なることを諦めない!
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『美和ちゃん』『九条くん』『裕くん』
『ひなさん』『宇良羅ちゃん』『先生』
『磨依』『麻紗音さん』『お母さん』
そしてー『伸太朗』
書き上げた十枚の封筒を見渡してー微笑んだ
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!