第102話

隠しきれない真実
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2018/06/18 03:56
そしてー約束の放課後…
もとから5時限目の終わりに行ったから放課後に
なるのがすごく早かった
私は一足先に屋上に来て景色を、眺めていた
…この景色も…あと2週間…か
目に…焼き付けておこう…
すると、ガチャッと屋上のドアが開いた
美和
育…
私だけ、来たよ
うん、ありがと…
美和
やっぱり変、だよ
なんか笑顔もぎこちない。
瞳に…いつもの光がない
いつもだったらキラキラしてる
それなのに…何があったの…?
美和は育の肩を掴み揺らす
美和ちゃん……にはバレちゃう…
私が何を隠そうが…全部…。
瞬間、涙が流れる。
ー私、いつからこんなに涙もろくなったのかな…?
美和
育…。
何年…一緒にいると思ってるの?
それくらい…わかるんだよ…?
美和ちゃんも泣き出してしまった…
みんな…涙もろいじゃん…
私、あと2週間後には
学校に来れなくなっちゃうの
美和
え……………?
それ…どういう…
最後の入院生活だよ。
それに…次倒れたりしたら
家族以外、面会出来なくなっちゃうの
美和
そ…そんなっ!?
ウソ…うそだよね…?
ウソって言って…
ウソって言いたいよ、私も。
でも……ウソじゃっ……ないんだ…
私だって…イヤだよっ……
だって…もっとみんなと一緒にいたい……
みんなと遊びたいっ……
死にたくない……
私の命は……もうほとんど
『無い』ものに近いんだよ…
いつ死んでも…おかしくないんだ…
育は自分の胸…いや心臓を押さえる
自分の鼓動を感じるようにー
でも……こうやって自分の鼓動を
感じられると……
『あぁ…生きてるんだなって』
そう思えるんだ……
そうー育は言って微笑んだ
美和
育…でも私っ……
すると育はー美和の耳元で何かを囁いた
美和
い、育……!?
正気なの!?
そんなの……イヤだよ!
そんな……育…を…
私に出来ることは、もう
それくらいしか残ってない
だから、せめて…少しでも
力になりたいの…
美和
育…どれだけ…
あんたは…優しいのよ…
もっと…自分のことを大切に
しなさいよぉっ!!
美和ちゃんがどれだけ言おうと
どれだけ止めようと…
私はもう……決めたことだ……。
苦しんでいる人……困っている人のためならー
伸太朗
おいっ!?
こんなところにいた……!
随分探したんだからな……
屋上のドアを勢いよく開け入ってきたのは
流と伸太朗
ほら、美和帰るぞ
えぇっ!?
美和ちゃんと九条くんって……
もうそういう関係なの!?
美和
育…あんたどんなこと
想像してるのよ
家に送るだけた。
別に一緒に暮らしたりはしてねーぞ
流は呆れながらも、美和の手を取り帰る
美和
じゃあね!育!
うん!
ばいばいー!
そしてードアが閉まる
伸太朗
なぁ……明日から泊まりに来ねぇか?
明日は、土曜だし……
二人でデート行かねぇか?
デート……
まともに……デートなんて……そう言えばしてないね
私が死ぬ前にー一回くらい……
したい……
デートっ……!!
お泊まり…も!
伸太朗
じゃあ、明日な♪
すっげー楽しみだ!
もう……伸太朗のその笑顔も
見れなくなっちゃうの…かなー?
………………んっ…
いきなり、伸太朗にキスをされる
ぷはっ……ど、どうしたの……?
伸太朗
いや……元気…無かったから
いつもの育じゃないな…と
どうして…?
私、こんなに元気っ……
ズキン!と頭、心臓が痛む
伸太朗
おいっ!?
無理してんじゃねーよ……
一番大切なのは育、お前だ!
うん…ありがと
私……帰るね……
明日、お泊まり楽しみにしてるから
そして育は走って行ってしまった
伸太朗
なんで……教えてくれないんだよ…
オレは……ダメなのか……?
彼氏として…育…を支えていきたい…
なのに…どうして…
何かを隠していることはーわかっている
だが、無理をしてまでも聞き出そうとは思わない
だけどーやっぱり彼氏として…知っておきたい
隠し事とかー…距離があるようで嫌だから…

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