第97話

壊れかけた心
301
2018/06/14 11:34
目覚めて、一日後……
目が覚めたという連絡を受けてなのか
三人、いや四人が病室にやって来た
伸太朗
おいっ、育!!
大丈夫かっ……!?
いつも以上に目覚まさなかったけど…
美和
育っ……
良かった…目、覚めて……
心配したんだからっ!!
美和はそう言って育に抱きつく
くっ……苦し…いよ
美和ちゃん……
ホント、美和は美澄が
いないと元気がなくなる
早く、学校来いよ、美澄
宇良羅
なんか、まだ完全復活…
とは言えなそうねー
そんな……訳ない…よ
それに…昨日起きたから…さ
伸太朗
うん、大丈夫じゃないな
顔色も優れないし
ほら、寝っ転がってろよ
オレらの事は気にせずに♪
伸太朗は無理やり育をベッドに寝かせる
ちょっ…ちょっ…!
伸太朗
病人は寝てないとですよー?
ほら、この前来たときプリン
たくさん買ってきたから食べるか?
伸太朗は袋ごと大量のプリンを机に置いた
うん、食べるー!
伸太朗
ほら、口開けて?
食わせてやるよ♪
三人の目線もお構いなしに口元にプリンを近づける
ちょっ…みんないるから
やめてよっ…んんっ!
喋っている途中でプリンを突っ込まれる
美和
どう?あーんしてもらって
食べるの美味しい??
宇良羅
羨ましいなぁ
宇良羅も早く告白したいなぁ
育ちゃん早く学校来てよぉ
お、美味しい…
久しぶりにプリン食べたから
もっと美味しい…よ
プリンってこんなに美味しかったっけ…?
宇良羅ちゃん、ごめん…
早く学校行くから…
絶対成功させようね、告白!
宇良羅
うん!待ってるからねー!
すると、いきなりひなさんが病室に入ってきた
ひな
お話してるところごめんね
育ちゃん、先生が呼んでるよ
え…あ、はい…!
みんな帰ってて良いよ
私、行ってくるから
育はベッドから起き上がり歩こうとした。
しかし、育はバランスを崩し倒れようとしていた
伸太朗
うわぁっ危ねーっ!
お前、フラフラしてる…
平気だよ…
ありがと、伸太朗
じゃあ、みんな気をつけてね♪
育はひなさんに支えられながら病室を出ていく
伸太朗の言葉に美和はへへっと笑った
美和
育の余命…あとどのくらい
あるのかな…
美和
育の余命…あとどのくらい
なのかな…
伸太朗
おいっ、そんな縁起の悪いこと
言うんじゃねーよ!!!
育は…死なねぇからな!?
いや…死なせない。
何があっても…
伸太朗
おいっ、そんな縁起の悪いこと
言うんじゃねーよ!!!
育は…死なねぇからな!?
いや…死なせない…
何があっても…
美和
そう……だよね
ごめんね、なにも考えず…
おい、シンタロー
美和は悪くない。
それに、シンタローだって
いつか美澄がいなくなってしまう
ことをわかった上で付き合った。
そうだろ?
なにも言えない……。
育がいなくなることはわかっていたー
だけどそれが近い……なんて思うと…
一つ、親友だからこそ
忠告しておく。
今、まだ美澄が死んでもいないのに
取り乱すとなるとー
実際起こってしまったときに
シンタローの心は壊れるぞ
伸太朗
っ……
心…壊れる……
宇良羅
そうね……もしも…
のことが起こってしまったとき
伸太朗くんがなんか
おかしくなりそうなの予想出来るわ
伸太朗は自分の心臓に手を置いた
みんな…なぜそんなに…育がいなくなることを
想像しているんだ…。
育はーいなくならない…
そう……信じてる……。
だけど……もし本当にいなくなってしまったら
オレは……オレでなくなりそうだ……

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