第42話

左手の温もり
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2018/04/23 10:05
眩しい…。そう思い、伸太朗は目を覚ました。
伸太朗
んっ…眩し…。
重たい瞼を開けるとカーテンが少し開いていた
伸太朗
はぁ…?
なんで開いてんだよ…
閉めに行こうとしたら手が突っかかった。
そっと、振り向くと
伸太朗
ふふっ、手ぇ握り過ぎだっつーの
ギュッと、強く育が伸太朗の手を眠ったまま
握っていた。
…夜から、握りっぱなしだと思うとドキドキする
伸太朗
この手…振りほどく分けにも
いかないしな…。
でも、育…眩しいよな…
カーテン閉めてぇな…
迷っていると、育が寝返りをうった。
その弾みで、繋いでいた手が離れた。
伸太朗
あ…。
手…離れちゃった…。
なんだろ…この変な感じ…。
まぁ、カーテン閉めるか
伸太朗は、そう言ってカーテンを閉めた
真っ白い…ただ白に染められた空間…ー。
こんなところで一人、育はずっと過ごしていたのか
すごく、寂しいし味気ない。
ーずっと、ずっとオレがここにいてやりてぇなって
そう思うほど、哀しくなって。
そして、眠る育にキスをした。
伸太朗
寝顔も、可愛いな…。
ちょっと飲み物買ってくるわ。
そう言って伸太朗は、病室を後にしたー
………………………………
ここはー、また夢の中かな………?
左手が温かい。
ー温もりを感じるんだ……。
そう……この温もりは…感じたことのあるモノで。
そうーこの温もりはー
伸太朗…!!
手…握っててくれてるのかな?
夢の中で私は起きていても左手だけは温もりが
伝わってきた。
その左手をギュッと握る。
伸太朗がいれば私は
なんでもできる気がするー。
前向きになれるんだ…
そうー確信した。
その時だったー
っー?
左手から温もりが消えた。
伸太朗…?
ートイレとか…かな……?
なんで伸太朗がいなくなった瞬間、こんなに不安に
なるんだろう………
すごく、怖い…いなくなっちゃうんじゃないかって
はやくー戻ってきて………。
私も早く起きよう。
ー伸太朗におはようって伝えるんだ
誰よりもー早く。
………………………
そしてーまた異変に気がついたのは数分後だった

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