第86話

隠し事
299
2018/05/31 23:17
お母さん
お母さんが隠してた
理由はね…
自分から聞いたのに、聞くのか怖い
う、うん…
お母さん
お父さんに、言うなって言われたのよ
言うべき年齢になったらしっかり
その『てんかん症候群』のことを
話そうかって。
お、お父さん…?
お父さんって私が2歳のころ
位に…亡くなってるんじゃ…
じゃあ…私のもう一つの病気は2歳の頃には既に
発症されていたってこと…?
お母さん
そうね、お父さんは
育と同じ洞不全症候群の病気で
亡くなったのよ
育の病気はきっとお父さんの遺伝ー
お母さんは悔しそうに拳を強く握りしめた
涙目を浮かべながらー
お母さん
あの人さえっ…いなければ!
育はっ……!!
お父さんのせいにしないで!!
お父さんは何も悪くない!
どんな人か覚えてないけど
お母さんが選んだ人でしょ!?
それなのに……なんでっ!!
きっと私のお見舞いに来なくなったのも
お父さんの時との風景が蘇ってしまうから
忘れたかったのだろう、お父さんの苦しむ姿を
お母さん
ごめんね……育
お母さん…お父さんの苦しむ姿が
思い出したくなくて、育のお見舞い
行けなかった。
親…なのに…
お父さんとは違うのにー……
もういいから、元気だそ?
私、部屋に行ってくるね
ご飯できたら呼んでね♪
そう言って育は階段を駆け上がった
今はーお母さんと一緒に居られる気がしない。
会話を続けようと思っても途切れてしまう
お父さん……か…
もう一度…会いたいなぁ
どんな人だっけ…お父さんって
2歳頃にはもういなかったからー
お父さんとの記憶は無いもの同然。
でも、一つ確かなものがある
お父さんとの記憶ー。
お父さんはすごく優しくて、私が転んだりすると
お父さんは骨折したくらいに心配する。
お父さんの作るご飯はすごく美味しかった気がする
そしてー、家族3人すごく仲が良かった
これくらいしか覚えてないけど…。
天国で見守ってくれてるのかな…。
お父さん……。
すると、携帯の着信音が鳴り響いた
誰だろ……。
育は、LINEを開き見てみたー

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