第83話

勝利の女神
337
2018/05/27 04:42
なんで、宇良羅ちゃん…
そんな悲しげな瞳をするの…?
な、なんで…?
だってこんなに素敵で…!
宇良羅
宇良羅、実は付き合ってた人がいたの
美和
えっ……!?
そ、そうだったの……?
宇良羅
松下 蒼汰って子。
バスケ部で宇良羅たちの先輩。
少し前から別れてって言われててね
宇良羅ちゃんは、伸太朗の事が
好きだったんじゃないの……?
宇良羅……ちゃん…
伸太朗の事は…なんだったの…?
宇良羅
宇良羅が好きなのは伸太朗くんだよ
それは変わらない。
蒼汰くんと付き合って伸太朗くんの事
忘れようって頑張ったけどさ
好きになれなくて、言葉だけ好きだよ
って蒼汰くんに言い続けてて…
宇良羅ちゃんにも、悩みごとはある
笑顔の裏には悲しいことだってー隠されている
宇良羅
さすがに…蒼汰くんにも
嫌われちゃったよ…
蒼汰くんに…悪いことしちゃったし
宇良羅の心は汚いよ。
尊敬される価値もないんだよ
宇良羅ちゃんの頬を一筋の涙がこぼれ落ちる
そんなことないよ。
私は、宇良羅ちゃんの心が
汚いなんて思ったことは1度もない
宇良羅ちゃんには力があるんだから
自信、持っていいんだよ
弱気じゃ何も出来ない
美和
そうだよ…………!!
確かに、育のことを閉じ込めたり
したけどっ…
宇良羅ちゃんは変わったんだよ
今は…昔よりずっと輝いてる
とっくに始まったリレーのことすら忘れて
宇良羅を慰める
宇良羅
二人ともあり…がと…
大好き…だよ♪
言う相手違うんじゃない?
自分の気持ち、気づいてるでしょ?
宇良羅
失ってからわかった…
宇良羅、蒼汰くんの事が今は好き
表面上の言葉じゃなくて心から
今、そう思えてる
宇良羅は、涙を流しながら笑った
じゃあ気持ち、伝えようよ!
美和
そうだよ!協力するよ…って
育!!前!前見て!!
青宮くんがもう走るよ!
育が前を向いた時には伸太朗は、走り出していた
ー順位は、五組中…三位
えぇぇぇ!?
も、もう!?
が、頑張れ、伸太朗っ!
伸太朗は、群を抜いて足が速いけどあそこまで
差があると…さすがに無理がある…
伸太朗……。
絶対、勝つって言ったよね…?
育はすぅっと、息を吸った
美和
育……?
だったら、私にあなたの
勝つ姿を見せてよっ!!
勝ったら…なんでもしてあげるよ!
こんなの、ただの挑発に過ぎない
だけど伸太朗なら……
伸太朗
ホント!?
伸太朗は走りながら声を上げた。
すると、いきなり速度が上がり一気に一人を抜く
そして、残り50メートル
かなり、差が縮まりほぼ一騎討ちとなった
………………………………
育の声が響き渡る。
伸太朗
ハァッ…ハァッ…
なんでもしてあげる…だと?
男子
なに…いってんだよ!?
このまま、ハァッ…俺が…
一位で…ゴール、ハァッ…
するんだよー!
一位で走り続けている男子は伸太朗に向かって叫ぶ
しかし、伸太朗の速度が速まり距離は縮まる
男子
なっ…なにっ!?
そして、一位のだったらを抜き一位でゴール
伸太朗
っ…ハァッ…ハァッ…
ごめんな、オレには
勝利の女神が…ついてるんだよ
それじゃぁ、約束通り“なんでも”してくれよ?

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