なんで、宇良羅ちゃん…
そんな悲しげな瞳をするの…?
宇良羅ちゃんは、伸太朗の事が
好きだったんじゃないの……?
宇良羅ちゃんにも、悩みごとはある
笑顔の裏には悲しいことだってー隠されている
宇良羅ちゃんの頬を一筋の涙がこぼれ落ちる
とっくに始まったリレーのことすら忘れて
宇良羅を慰める
宇良羅は、涙を流しながら笑った
育が前を向いた時には伸太朗は、走り出していた
ー順位は、五組中…三位
伸太朗は、群を抜いて足が速いけどあそこまで
差があると…さすがに無理がある…
絶対、勝つって言ったよね…?
育はすぅっと、息を吸った
こんなの、ただの挑発に過ぎない
だけど伸太朗なら……
伸太朗は走りながら声を上げた。
すると、いきなり速度が上がり一気に一人を抜く
そして、残り50メートル
かなり、差が縮まりほぼ一騎討ちとなった
………………………………
育の声が響き渡る。
一位で走り続けている男子は伸太朗に向かって叫ぶ
しかし、伸太朗の速度が速まり距離は縮まる
そして、一位のだったらを抜き一位でゴール
それじゃぁ、約束通り“なんでも”してくれよ?
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!