第60話

言葉と目で
321
2018/05/06 22:37
育と、湖乃木を病院に運び伸太朗は育の病室で寝た
そして、朝ー。
伸太朗はなにやら頭に違和感を感じ目を覚ました
伸太朗
んっ…。
おはよう、伸太朗。
伸太朗
え…?えっ…!?!?
育が一夜で目覚めたことにもビックリ。
そして頭をなでなでする育にもビックリ。
いやぁ、伸太朗が私の側で
寝てるもんだからつい…
伸太朗
そ、そうか…。
よかった、げ、元気そうだな
昨日、発作を起こしたようには見えないぐらい
顔色も良いし、元気そうだ。
うん!すごく元気なの!
伸太朗が助けに来てくれたからかな?
ニコッと優しい笑顔を浮かべる育。
その笑顔に今でも心を奪われる伸太朗。
伸太朗
あ、そうだコレ…
伸太朗はポケットからネックレスを取り出し育の
首もとに下げる
あっ…!コレっ!
無くしたと思った…!
見つかって良かったぁ
伸太朗
あぁ、あの林の茂みにあったぞ
ネックレスを見つめてニコニコとする育。
それを見ているだけでもう、幸せになる
ひな
育ちゃーん!
リハビリの時間だよ!
…あ!伸太朗くん、昨日はありがとう
お陰で育ちゃんも大事には
至らなかったよ!
ひなさんは育を車椅子に乗せ、伸太朗に微笑んで
育を連れ病室から出ていった
伸太朗
よし、お仕置きの時間だな
伸太朗はそう呟き兄のいる病室に足を運んだ
………………………………………………
祐太郎
あ、来た来た。
遅いぞ、シン。
湖乃木の病室は126号室。
伸太朗
おう、了解だ。
行くぞ。
祐太郎
育ちゃんを拐った罰を
与えようじゃぁないか
そして二人は湖乃木 磨衣のいる病室に。
コンコン、とドアをノックする
磨衣
はい、どうぞ。
伸太朗
失礼する。
お前は湖乃木だな?
磨衣
え、はい………湖乃木 磨衣ですが…?
磨衣は読んでいた本を机に置いた。
祐太郎
お前、昨日育ちゃんを拐っただろ?
その罪を償わせに来た
磨衣
ま、まさかあなたが育の言っていた
大切な人………ですか?
磨衣は祐太郎を指差して言う。
祐太郎
え?あぁ、大切な人…かぁ
そうだったら良かったんだけどな…
コイツが育ちゃんの大切な人
祐太郎は悲しそうな顔をして伸太朗を指差す
伸太朗
どうも、こんにちは。
育の彼氏です
青宮 伸太朗です
伸太朗は礼儀正しく自己紹介をしてからお辞儀した
磨衣
…堅苦し…
俺は湖乃木 磨衣。
大学一年生だ。
大学生。
その言葉にゾクッとする伸太朗。
伸太朗
(ヤベェ…年上かよ…!)
磨衣
言うほどでもない。
君じゃ育を幸せには出来ないね
俺が“年上”って言うだけで
こんなにビビっちゃってさ。
残念だけどー…別れてくれる?
伸太朗
は?
黙って聞いてりゃ何言ってんの?
他人が誰と付き合おうが勝手だろ?
祐太郎
シン、押さえろよ。
やめておけ。
祐太郎は伸太朗を宥めようとするが無理だった
伸太朗
他人にどうこう言われる
筋合いはねぇよ!
黙ってろよ、グズが。
いつまでも育が初恋のまま
いてくれるとでも思ったのか?
ーとんだバカだな。
そして、伸太朗は冷たい目で磨衣に告げた
伸太朗
人の心は変わるんだよ
とっととこの病院から消えろ
次育に近づいたら許さねぇから
そう言い残すと伸太朗と祐太郎は磨衣の病室を出た
祐太郎
あれ?シン。
お仕置きするんじゃなかったの?
伸太朗
オレの言葉攻めと目で攻めりゃ
一発だろ?
兄さんはそういうこと出来ないからね
兄さんはどちらかと言うと優しい。
今みたいに言葉や目で攻めることはできない
祐太郎
まぁね?
シンは育ちゃんのことになると
すぐに熱くなる。
少しは冷静さも必要不可欠。
伸太朗
あぁ、悪かったな
でもー本当に育を困らせるやつは許さない
オレの大切な人だからな。

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